歯 科 衛 生 士 と は

歯科衛生士学校長  高 木 裕 三


歯科衛生士は、歯科治療において診療の補助をしたり、虫歯や歯周病にならないように予防処置を行ったり、さらには口腔の健康を維持、増進するための保健指導を行う歯科医療スタッフの大切な一員です。歯科衛生士学校において、指定された教科を2年の課程で履修した後、国家試験に合格するとその資格が得られます。

歯科衛生士は人々の口腔の健康を守るため、歯科医師と共に、歯科保険・歯科診療に取り組む医療従事者ですが、近年、地域保健法の施行や介護保険制度の導入によって歯科衛生士の役割は一段と大きくなっています。すなわち、これまでの歯科診療施設における業務に加え、地域保健で果たす役割が要求されるようになり、また、歯科訪問診療のニーズの増加と共に歯科保健指導が高齢者の健康を維持する基本として再認識されることが必至であることなどから、歯科衛生士の行う業務は飛躍的に増大すると予想されます。

厚生労働省は、21世紀において我が国の一人ひとりの健康を実現するための新しい考え方による国民健康づくり運動として、「健康日本21」政策をすすめています。21世紀の高齢化社会の道標となる、この健康政策の二大目標には早世(若くして亡くなること)を減らし、障害を少なくすることが挙げられています。これらの目標の達成の為に五つの中目標がありますが、歯の喪失を減らすことがその一つに挙げられています。人が歯を失う原因はほとんどが虫歯や歯周病であり、その予防は原因菌の制御と生活習慣の改善にかかっています。虫歯と歯周病の原因菌が定着している歯垢と歯石の除去は歯科衛生士が得意とするところであり、生活指導を含めた口腔保健指導は歯科衛生士に割り当てられた業務です。したがって、この運動を成功させるためには歯科衛生士が歯科医師との密接な協力のもとに、虫歯や歯周病の予防処置を行い、歯や口腔に関する健康教育や保健指導に積極的に取り組んでいかなければなりません。

本校は、我が国はじめての国立の歯科衛生士学校として50年前に設立され、これまでに数多くの優秀な人材を世に出してきたと自負しております。これからも、歯科診療補助や予防処置はもちろんのこと、口腔保健指導が積極的に実践でき、社会のニーズに本当に応えられる歯科衛生士を育てていきたいと思います。


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