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研究内容

①肥満や生活習慣病など炎症慢性化のメカニズムの解明と治療への応用

肥満の増加にともない、糖尿病や心血管疾患に代表される生活習慣病の有病者は世界的に急増しています。わが国でも40歳以上の10人に1人が糖尿病と診断され、私たちにとって最も身近な疾患となりつつあります。また、肥満を基盤とした糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、動脈硬化症を進める主要な要因となっています。
私たちはこれまでに、肥満や糖尿病などの代謝異常と、血管における動脈硬化症は、慢性炎症という共通の基盤病態のもとに、同時に進展することを見いだしてきました。慢性炎症は、生体の防御反応としての炎症応答が適切に収束せずに、遷延した状態と考えることができます。ところが、生存に必須の防御反応がなぜ慢性化し、生活習慣病を引き起こす原因となるのかは明らかではありません。

 肥満時の脂肪組織や動脈硬化の病巣では慢性炎症が生じています。
肥満時には、脂肪組織中へマクロファージが多数浸潤し、その数は肥満すればするほど増えることが知られています。血管でも、動脈硬化発症・進展の一部始終にマクロファージが観察されます。また、肥満時には、マクロファージの機能が炎症促進性に傾いていることも知られています。そこで、マクロファージが炎症慢性化の鍵をにぎるのではないかと考えました。

 

マクロファージの機能は多彩です。マクロファージは病原体などによって活性化され、炎症応答をすすめる(M1マクロファージ)だけでなく、炎症を積極的に収束し、線維化をすすめたり、組織の恒常性維持に重要な働きも行っています(M2マクロファージ)。
 
 

また、個々のマクロファージは炎症刺激を受けると時間の経過に伴い形質を変化させること、形質の変化は細胞代謝の変動と連動していることがわかってきました。つまり、マクロファージは炎症刺激を受けると一過性に解糖系が亢進、脂質代謝が抑制されて炎症促進形質を示しますが、時間が経つと脂質合成や脂質代謝が亢進して炎症を収束させる形質へと変化します。

そこで、マクロファージ機能を是正し、炎症の収束をすすめるように形質を変えてやることによって、肥満や生活習慣病に対する新たな治療・予防法となる可能性があるのではないかと考えています。