実施中のプログラム

鈴木仁美

実験中のプログラム

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もともと学生時代から生殖細胞に関心を持っていました。
生殖細胞とは、卵子(卵母細胞)や精子になる細胞のことで、遺伝情報を次世代に受け渡すことのできる唯一の細胞群です。新しい個体を作り出すため、他の体細胞にはない性質を持っているところに興味をひかれます。
現在はマウスを用いて、卵巣にある未成熟な卵母細胞の発生について研究しています。

学生時代には胎児期の生殖細胞を、ポスドク時代には精子を作り出す精原細胞について研究していました。その間も生殖細胞全般について広く興味をもって勉強していましたが、卵巣機能や卵母細胞についての分子生物学的な研究が少なく、解明されていない分子メカニズムがたくさんあることに気がつきました。謎がある場所は研究のチャンス!と思うと同時に、私自身も女性ですので、自分自身の体の中で起きている卵の発生という現象の全てを知りたくなりました。

「早発閉経」「卵巣機能低下症」「卵巣機能不全」など、おもに40歳未満の女性におこる卵巣の病気や、それらによって引き起こされる「不妊症」については殆ど原因が分かっていません。健康な卵巣の状態や卵成熟のメカニズムを理解することで、何が病気を引き起こしているのかを明らかにし、将来的に治療法の開発や改善につながると考えています。

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卵子のもとになる生殖細胞は、胎児期に分裂を停止して未成熟な卵母細胞として卵巣に蓄えられます。一生のあいだ中増殖し続ける精原細胞(精子のもととなる細胞)と違い、卵母細胞はそれ以上増えないと考えられています。
健康なヒトの卵巣では、限られた数の卵母細胞のうち数個が活性化され、その数個からより抜かれた1個が成熟し卵子(未受精卵)として排卵されるので、卵母細胞の数は年齢とともに減少します。約40年間、およそ28日に1回のサイクルで排卵し続けていくためには、適切な数の卵母細胞を少しずつ消費するよう調節するメカニズムが働いていると考えられます。
早発閉経や卵巣機能不全の場合、この調節機能がきちんと働かないために必要以上に大量の卵母細胞を使ってしまったり、成熟のメカニズムが崩れて卵母細胞から卵子をうまく作れなかったりして、卵母細胞が若いうちに枯渇し、20代、30代で閉経するケースがあることが知られています。

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そうです。私の研究目標は、卵母細胞を少しずつ使うようにコントロールするメカニズムを分子レベルで解明することです。これにかかわる遺伝子やタンパク質の作用機序がわかれば、病気の治療法の開発と改善に繋がっていくと信じています。

研究とは、まだ誰も知らない事実を明らかにすることです。自分が最初の発見者になるかもしれない、ということに魅力を感じて研究者を志しました。研究を進めて行くと、バラバラに散らばっていた事実が、パズルの空白にうまく嵌まり込む仮説に辿り着くことがあります。そういう時はとてもわくわくします。

アメリカに留学中で、そろそろ帰国しようかと日本での就職先などを探していたところ、ちょうど公募が始まったので、それを見てすぐに応募しました。

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独立するために新たな研究をイチから始めなければならないので、スタートアップの資金として1000万円が支給されるのは大きな魅力でした。東京医科歯科大学には人脈などまったくありませんでしたが、知らないところでゼロからスタートする方が思い切ったことができて良いと思いました。
でも結局、今お世話になっているメンターの金井先生と、以前お世話になっていた教授がお知り合いで、世間は狭いなと感じましたが(笑)…。

研究者プロフィール

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鈴木仁美 Hitomi Suzuki

疾患モデル動物解析分野/テニュアトラック助教/博士(理学)

2004年 東京理科大学理工学部応用生物学科卒業
2006年 東京大学大学院理学研究科修士課程修了
2009年 東京大学大学院理学研究科博士課程修了
ベイラー医科大学産婦人科博士研究員
ピッツバーグ大学産婦人科および生殖学科博士研究員
2012年8月 東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科・テニュアトラック教員(助教)

メンター教員名簿

  職名 氏名
研究領域に最も精通している当該部局の分野等教授 (主メンター) 大学院医歯学総合研究科医学系教授 金井 正美
最先端研究を行っている教員 (副メンター) 難治疾患研究所教授 田賀 哲也
大学院医歯学総合研究科医学系教授 淺原 弘嗣

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