基礎看護学 :

Department of Fundamentals of Nursing

教授 助教授 松田たみ子
講師 助手 1名
大学院生 4名

教室紹介

担当職員は助教授1,助手1,技官1である。

(1)教育

学部教育では看護の共通基盤である看護の概念・目的及び看護実践能力の基礎となる知識・技術を教育する。看護学原論は看護実践の基盤となる看護の概念、人間観・生活観・社会観・健康観・自然観とそれらの相互作用を広い視野から理解するための基盤を教育し、看護方法論では生活・診療に関連する看護技術の習得の過程において、看護技術の原理および根拠を理解することに重点を置き講義と演習による主体的な学習方法で教授している。
大学院教育では、全ての対象の看護に共通する看護技術の科学的根拠を探求し、基礎看護学領域の研究方法論の確立のために、生理学的・生化学的・人間工学的手法の活用を試みている。また、看護に関連する他分野の研究方法に触れ、学際的研究を目指している。

(2)研究

以下のテーマで研究を行っている。

1) 看護技術の生理学・生化学・人間工学的解析:基礎看護技術を形成している科学的な基盤を明らかにする研究の一環として、現在は清潔ケアの内、清拭技術に焦点を当てて、摩擦方向や摩擦力、湯の温度が生体に及ぼす効果を検討している。本年は、温度の効果を中心に、皮膚血流や自律神経系への影響について研究を進めた。

2) 栄養環境変化の生体へ及ぼす影響:食行動の定量的解析を行うために、食事場面の画像処理により、食事摂取スタイルを分類し、各スタイルに影響を及ぼす要因についての研究を行っている。スタイルは同一の速度、摂取量を軸として6つのパターンを分類し、それぞれの型により生理的、とくに循環への影響が異なることを明らかにした。

3) 看護におけるセクシュアリティの研究:人間の生活の中で、重要な意義をもつセクシュアリティについて、看護実践の現状、看護者の意識、看護教育の方向性等について、看護者・クライエント両者の個々の生活背景や社会的背景、文化的背景等の要因の側面から検討している。

また医療者間の性役割についても研究予定である。

4) 分娩中の女性の不安に対する看護の研究:分娩中の女性の不安はかなり高くなるといわれているが、分娩中に夫が付き添いをしている場合、どのような要因が不安に影響しているのか、不安軽減のために看護者としてどのようなケアを提供していけばよいのかについて検討を行っている。また、その夫婦にあったケア計画を立案するためには看護者はその夫婦それぞれの特性だけでなく夫婦関係を把握する必要があり、そのツールについても作成途中である。

<業績>

[1]原著

1. 三隅順子,前原澄子,森恵美:産婦の不安を軽減するための看護の方法に関する研究(第一報) 夫付き添い分娩における夫の関わり方の効果について.千葉看護学会会誌 1996;1,17-22.

2. 三隅順子:産婦の不安を軽減するための看護の方法に関する研究−夫付き添い分娩における夫への看護援助の効果と夫の関わり方に影響するその他の要因−.千葉看護学会会誌 1996;2,8-14.

[2]総説

1. 松田たみ子,塚田睦美:看護ケアのスペシャル・スキル1 食事援助,嚥下障害患者への食事援助 NGチューブの正しい抜き方.1996;4.72-75.

2. 松田たみ子:ヘルス・フィジカルアセスメント.人生各期における成長のアセスメント.ナースデータ 1996;8: 74-77.

[3]著書・訳書

1. 江川隆子,小田正枝,松田たみ子監訳:看護診断入門ナーシングプロセスー看護モデルの実践への展開.1理論編.廣川書店.1996.
2. 江川隆子,小田正枝,松田たみ子監訳:看護診断入門ナーシングプロセスー看護モデルの実践への展開.2実践編.廣川書店.1996.

3. 看護技術研究会(松田たみ子):看護技術の科学と検証.日常ケアの根拠を明らかにする.日本看護協会出版会.1996.

4. 森恵美,桑名佳代子編集(三隅順子):図説臨床看護学全書1,母子・小児の健康と看護(1).同朋社 1996.

[4]学会

1. 岡嵜尚子,斎藤やよい,真砂涼子,松田たみ子:臨床経験の有無による彩色液体の認識の違いについて.第22回日本看護研究学会学術集会,広島,1996.

2. 亀田真美,斎藤やよい,真砂涼子,松田たみ子:看護学生の対人関係価値の学年変化と看護職に対する意識.第22回日本看護研究学会学術集会,広島,1996.

3. 真砂涼子,三隅順子,斎藤やよい,松田たみ子:清拭技術の生体に及ぼす効果に関する基礎研究1−局所温度刺激の皮膚血流と皮膚温への影響−.第16回日本看護科学学会,東京,1996.

4. 三隅順子,真砂涼子,斎藤やよい,松田たみ子:清拭技術の生体に及ぼす効果に関する基礎研究2−局所温度刺激が自律神経系に及ぼす影響−.第16回日本看護科学学会,東京,1996.

5. 三隅順子:夫婦間調整テストの再検討.第37回日本母性衛生学会,仙台,1996.

[5]研究助成金

1. 松田たみ子,三隅順子,菱沼典子:看護技術の生体に及ぼす効果の研究−清拭技術の摩擦方向および温度の効果− 平成8年度文部省科学研究費補助金(基盤研究B)

2. 菱沼典子,香春知永,操華子,横山美樹,松田たみ子:看護技術の自律神経系への影響に関する研究−腰背部温罨法に焦点を当てて− 分担.平成8年度文部省科学研究費補助金(基盤研究B)

3. 斎藤やよい,松田たみ子:食事摂取スタイル分類による色行動の研究 分担.平成8年度文部省科学研究費補助金(萌芽的研究)

[6]その他

1. 松田たみ子,塚田睦美 訳:老人科外来患者における尿失禁のアセスメントと行動療法に関する学際的アプローチ.看護研究 1996;5.73-79.



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