精神看護学演習

Psychiatric Nursing Seminar

 

宮 本 真 巳

 

1 科目の概要

精神疾患患者の看護を中心に,あらゆる精神的援助の方法とその理論的背景について学ぶ。

 

2 教育方針・教育目標

精神障害者の生活歴と疾患や生活障害との関連、精神医療の歴史や治療環境の成り立ちが精神障害者の処遇に及ぼす影響についての理解を深め,精神障害者への心理・社会・生物学的な諸局面を視野に入れた全人的理解の深化を目指す。さらには、援助的な対人関係技術の向上を通じて、精神障害者の回復、成長、自立を支援するために必要な方法と、その理論的な背景について学ぶ。

 

3 教育内容

回数

日 時

項  目

内  容

担当者

1

4/7(月)

3

精神科看護と精神看護の目的と機能

精神疾患患者の看護,身体疾患患者への精神的援助,精神的健康の維持と増進

宮本真巳

2

4/7(月)

4

精神疾患と患者体験

患者としての病気体験,入院体験,精神障害を抱えて生きるということ

尾山篤史

3

4/14(月)

3

対人関係論からみた

精神看護

看護場面の再構成法とその理論的背景,再構成法による看護場面の検討

宮本真巳

4

4/14(月)

4

精神医療と精神科看護の歴史

精神医療の歴史(世界・日本),精神科看護の歴史(世界・日本)

渡邊敦子

5

4/21(月)

3

精神科看護における情報収集とアセスメント

精神科看護に必要な情報,精神科領域における看護

診断とクリニカルパス

日下和代

6

4/21(月)

4

医療機関における精神疾患看護

治療共同体の理念と方法,治療環境としての病院,

精神科入院患者の看護

宮本真巳

7

4/28(月)

3

相談面接の技法

クライエント中心療法の理念と方法(共感,受容,

自己一致),精神科ソーシャルワーク

宮本真巳

渡邊敦子

8

4/28(月)

4

相談面接の技法

精神療法の原則,ジェノグラム(家族歴)の方法,

家族療法とナラティヴ・セラピー

宮本真巳

渡邊敦子

9

5/12(月)

3

グループワーク

サイコドラマ(心理劇)の体験学習

末安民生

10

5/19(月)

3

グループワーク

集団力動とセルフヘルプグループの体験学習

宮本真巳

渡邊敦子

11

5/26(月)

3

グループワーク

集団力動とセルフヘルプグループの体験学習

宮本真巳

渡邊敦子

12

6/2(月)

3

精神疾患患者の病態に応じた看護(1)

幻覚・妄想状態の患者の看護,自閉・意欲低下の見られる患者の看護

宮本真巳

13

6/9(月)

3

精神疾患患者の病態に応じた看護(2)

不食・拒薬の患者の看護,自他に対して攻撃的な患者の看護

宮本真巳

14

6/16(月)

3

精神疾患患者の病態に応じた看護(3)

気分障害のある患者の看護,不安障害のある患者の

看護,心的外傷を負った患者の看護

渡邊敦子

15

6/23(月)

3

事例検討の方法

事例検討で取り上げる局面(患者,看護者,援助関係,臨床状況),事例検討における役割分担(支持型,査定型,直面化型,統合型)

宮本真巳

16

6/30(月)

3

精神看護学の展望

精神看護学の他領域への影響,精神看護学の看護全般への影響,看護コンサルテーション

宮本真巳

〔単位〕必修1単位

〔場所〕保健衛生学講義室医歯学総合研究棟8階)ほか

 

4 教科書・参考書

教科書

日本精神科看護技術協会監修「改訂 精神看護学」中央法規出版,2006

宮本真巳「感性を磨く技法1 看護場面の再構成」日本看護協会出版会,1995

宮本真巳「感性を磨く技法4 面接技法から学ぶ」日本看護協会出版会,1998

参考書

宮本真巳「援助技法としてのプロセスレコード」精神看護出版,2003

ジュディス・シュルツ(田崎博一訳)「看護診断にもとづく精神看護ケアプラン」医学書院,1997

野島佐由美監修「実践看護技術学習支援テキスト精神看護学」日本看護協会出版会,2002

日本精神科看護技術協会「改訂版 精神科看護の専門性をめざしてT,U,V」精神看護出版,2002

武井麻子「グループという方法」医学書院,2002

モートン・キッセン(佐治守夫他訳)「集団精神療法の理論」誠信書房,1996

パトリシア・ダイクス(末安民生他訳)「精神科クリニカルパス」医学書院,2000

 

5 他科目との関連

看護心理学,精神看護学,地域精神看護学等の科目と関連する。

 

6 受講上の注意

精神疾患患者の理解を深めながら援助関係を形成するには,的確な自己理解と率直な自己表現、すなわち自己一致が欠かせない。そこで、自分自身の生活体験を振り返りながら、面接技法やグループワークの演習,精神看護学や他領域の臨地実習を活用し,自分の内面に生じた思いを吟味しつつ自己表現に努め,自己理解と患者理解を深めて欲しい。また,精神医学と精神疾患看護の基本的な知識を確実に身につけた上で,患者との接触から直接得られた主観的な情報を活用して患者の全体像を組み立て、回復、成長、自立を支援していく方法を学んで欲しい。

 

7 成績評価方法

期末に実施する精神医療の歴史と現状,病態に応じた看護に関する記述式試験、精神科事例における看護上の問題把握,相談面接とグループワークの技法等をテーマとしたレポートによって評価する。