(10 )実験動物学

Laboratory Animal Science

 

柳 澤 光 彦

 

1 科目の概要

実験動物学とは,研究,試験,教育など科学上の目的に用いられる動物に関する学問で,狭い意味では実験動物を対象とする学問であるが,広くは実験動物,家畜,野生動物の全てを含む実験用動物を対象とする学問である。実験動物学は育種学(遺伝学,繁殖生理学),衛生学(疾病学),比較生物学および飼育管理や実験手技などを含む実験動物技術から成る広範かつ学際的色彩の強い複合生命科学の一つである。また,適正な動物実験を実施するための方策を考えることも実験動物学の重要な担当分野である。

 

2 教育方針・教育目標

医学,生物学の研究に動物実験は不可欠である。動物実験を科学的,倫理的に遂行させるため,実験動物に関する初歩的な知識,技術ならびに動物実験の倫理について理解させることを目的とする。

 

3 教育内容

医学における動物実験はヒトに関する情報を動物から手に入れる手続きである。通常は動物になんらかの拘束ないし処置,刺激が加えられ,それに対する反応を観察するという方法がとられている。動物から多くの情報を得るには使用する動物を選択することが重要と言われている。従って,ある種の動物の生理学的・薬理学的特性や習性を巧みに利用したり,ヒトの疾患に類似する異常を持つ疾患モデル動物,最近ではトランスジェニックマウスやノックアウトマウスなど遺伝子を外部から導入したり,その動物が持つ遺伝子を破壊した遺伝子改変動物を用いることが盛んになってきた。講義では将来適正な動物実験が出来るよう実験動物の概念を学ぶ。講義は以下の項目について行う。

回数

日 時

項  目

内   容

担当者

1

12/3()

2

動物実験の必要性と倫理的規制

動物実験の歴史(意義,成果)

動物実験の重要性,動物福祉(概念,動物実験反対運動,指針,法規)

柳澤光彦

2

12/10()

2

実験動物の生物学(1

実験用動物の種と系統

実験動物の質(遺伝統御,微生物統御)

3

12/17()

2

実験動物の生物学(2

各種実験動物の特性(生理,薬理,生態)

比較生物学(ヒトと実験動物の類似点・相違点)

4

1/7()

2

動物実験に関わる環境諸因子

気候因子,物理化学的因子,住居因子,栄養因子,同居動物因子,微生物因子等

5

1/21()

2

疾患モデル動物 (1)

実験的発症モデル動物、自然発症モデル動物等

6

1/28()

2

疾患モデル動物 (2)

遺伝子改変動物(トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス)

 

 

 

 

 

 

〔単位〕選択1単位

〔場所〕保健衛生学講義室3(医歯学総合研究棟8階)

 

4 教科書・参考書

1)中野健司 他:実験動物入門,川島書店,1991.

2)野村達次・飯沼和正:六匹のマウスから,講談社,1991.

3)佐藤徳光:動物実験の基本,西村書店,1992.

4)土井邦雄 他:実験動物学−比較動物学的アプローチ−,文永堂,1994.

   

5 他科目との関連

実験動物学は遺伝学,繁殖生理学,微生物学,比較解剖学,比較生物学,病態生理学など他科目との関連が強い。

 

6 受講上の注意

授業はプリントとスライドを用いて行う。配布されたプリントは必ず理解すること。

 

7 成績評価方法

成績は出席点,定期試験時の筆記試験の成績で評価する。