分析化学検査学実習
Analytical
Chemistry，Laboratory
戸 塚 実
１ 科目の概要
患者から採取した血液，尿，その他に含まれる各種の成分を生化学的方法で定量することにより，患者診療に有用な検査情報を得る実践的手法を習得する。
放射性同位元素技術学では，放射性同位元素(RI)を利用した種々の検査について，RIの取り扱い，検査の具体的な方法，及び患者診療においてRI臨床検査が果たす役割について習得する。
２ 教育方針・教育目標
患者検体を実際に取り扱う実習を通して，貴重な検体を測定するという意識を充分に身につけ，その測定結果が常に疾患と結びついているという重大性を理解する。
分析検査学講義で学んだ知識・技術を基盤にして，患者検体，自分自身の検体を材料の一部として分析検査を実施する。実験内容を理解するとともに結果の解釈について充分に考察する。
放射性同位元素技術学では，講義で得た知識を基に，RI臨床検査の安全かつ有効な施行法を，検査施設入室から検査施行，退室に至るまでの各過程において充分に習得する。また検査結果の解釈とそれが患者の治療・管理に果たす意義を理解する。
３ 教育内容
グループ単位で実習するが，特に指示の無い限り代表者でなく各人がすべての実習内容について実技を修得する。そして，実習を通して分析検査が単なる分析ではなく，診療の一部であることを理解する。また，分析実技の習得だけでなく，得られた結果の解釈，問題点の把握等についても学習する。
放射性同位元素技術学では，まず放射線防護・汚染防止のためのRI取扱法を，法定規則を含め習得する。また放射免疫測定を中心とする生体試料中の微量物質定量法を実際の施設で見学し，検査結果が患者の診療にいかに反映されるかを理解する。さらに，患者にRIを投与して行う検査についてもその方法と意義を把握する。
＜一般検査学実習＞
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回数 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
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1 ～3 |
尿検査一般 |
尿試験紙による定性反応，比重計，屈折計と異なる原理を用いての尿比重測定， |
戸塚 実 栗原由利子 |
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4 ～6 |
髄液，穿刺液 |
髄液検査（グロブリン反応，トリプトファン反応）、リバルタ反応 |
〃 |
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7 ～9 |
尿蛋白，BJP尿 |
スルホサリチル酸，ピロガロールレッド法と原理が異なる蛋白定量法を用いて各蛋白に対する反応性とBenceJones蛋白尿に対する反応性を調べる |
〃 |
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10 ～12 |
血尿，Hb尿， ミオグロビン尿 |
Blondhein塩析法による鑑別 |
〃 |
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13 ～15 |
混濁尿，VMA |
混濁尿の鑑別，VMAの鑑定 |
〃 |
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16 ～18 |
便潜血 |
便潜血反応 |
〃 |
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19 ～21 |
尿沈査（１） |
尿沈査標本の作製，健常人尿の観察，スケッチ |
〃 |
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22 ～24 |
尿沈査（２） |
種々疾患患者の尿沈査標本の観察，スケッチ |
〃 |
＜化学検査学実習＞
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回数 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
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1 ～3 |
試薬作製， 血糖，Na，K，Cl |
OTB試薬，Jaffe試薬，Biuret試薬解糖阻止剤の意義，測定装置の取り扱い，OTB法，酵素法による血糖測定の比較 |
戸塚 実 栗原由利子 |
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4 ～6 |
クレアチニン |
Jaffe法と酵素法との比較，クレアチニンクリアランスの算出 |
〃 |
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7 ～9 |
血糖 |
糖負荷試験を行い血糖曲線作成 |
〃 |
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10 ～12 |
総蛋白、塩析 |
Biuret法，塩析法によるA/G比の算出 |
〃 |
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13 ～15 |
カルシウム，リポ蛋白 |
OCPC法における8-ﾋﾄﾞﾛｼｷｷﾉﾘﾝの意義，リポタンパク電気泳動の原理の習得 |
〃 |
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16 ～18 |
ビリルビン |
ジアゾ法とビリルビンオキシダーゼ法の比較 |
〃 |
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19 ～21 |
コレステロール |
アベルケンダ-ル法と酵素法の比較 |
〃 |
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22 ～24 |
HDLコレステロール LDLコレステロール |
酵素法と電気泳動によるコレステロール分画 |
〃 |
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25 ～27 |
LDアイソザイム |
アイソザイムの特徴（保存条件による違い） |
〃 |
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28 ～30 |
AMYアイソザイム |
活性染色法，阻害剤の影響 |
〃 |
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31 ～33 |
トランスアミナーゼ |
補酵素の取り扱い |
〃 |
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34 ～36 |
鉄，総鉄結合能 |
鉄の測定、鉄飽和の条件 |
〃 |
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37 ～42 |
IgGの精製 |
アフィニティーカラムによるIgGの精製，SDS－PAGEの習得 |
〃 |
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43 ～48 |
アルブミン， 血清蛋白分画，免疫固定 |
BCG法による測定とタイムコースの比較 電気泳動法と免疫固定法の技術 |
〃 |
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49 ～51 |
自動分析装置 |
日立7070自動分析装置の操作 |
〃 |
＜放射性同位元素技術学実習＞
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回数 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
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1 ～6 |
RI施設見学 |
放射性同位元素の安全取扱と施設，設備の説明，放射線測定機と核種，取扱方法と注意事項 |
原 正幸 |
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7 ～15 |
検査現場見学 |
実際に放射性同位元素を用いて検査をしている現場を見学 |
戸塚 実 |
〔単位〕必修４単位
〔場所〕検査学実習室１（医歯学総合研究棟８階）
４ 教科書・参考書
教科書は講義と同じ
実習用のテキストを用意する。その他必要に応じて参考書を提示する。
５ 他科目との関連
分析化学検査学講義（Ⅰ）および（Ⅱ）で学習したことを実際に行う科目であるから，実習時間を空費しないように，測定法の原理・特徴・臨床的意義についてよく復習してから出席すること。
６ 受講上の注意
白衣を着用のこと。採取した検体は，すべて感染源となる可能性があるという前提のもとに取り扱う習慣をつけること。準備から後始末までが検査であるという認識に立つこと。
実習は毎回異なる項目について行うので，欠席しないこと。
７ 成績評価方法
実習で学んだ知識に対して筆記試験を行う。出席点，レポートをあわせて評価する。