看護心理学
Nursing
Psychology
宮 本 真 巳
1 科目の概要
心の健康と精神的援助の全容を概観し,看護実践の心理学的な基礎を築く。
2 教育方針・教育目標
心のしくみについて理解を深めると共に,健康に問題を抱える人々に精神的な援助を提供する上で欠くことのできない基本的な知識,技術,態度を養うことを学習の目標とする。そこでまず,人格診断,心理測定,自己分析の方法を自分自身に適用してみる。さらに,日常的に体験しているストレスや生活習慣について吟味し,自分自身の心と身体を素材にして健康と不健康,適応と不適応を区別する判断力を磨く。また,リラクセーション技法,呼吸法等,心の健康の回復・維持・増進に有効と考えられる方法の一端を体験し,精神的な健康をめぐる援助について視野を広げる。こうした学習を通じて,セルフケア支援としての看護について基本的な考え方を身につける。
3 教育内容
回数 |
日 時 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
1 |
6/5(火) 1 |
心のしくみと心の健康 |
心と脳,人格の構造,人格と精神状態の評価方法,精神保健の概念 |
宮本真巳 |
2 |
6/5(火) 2 |
環境への適応と不適応 |
心理的ストレスの発生,ストレス対処の過程と類型,心的外傷(トラウマ)の発生,生活習慣と嗜癖行動,精神疾患と脆弱性 |
宮本真巳 |
3 |
6/19(火) 1 |
心と人格の発達 |
エリクソンの発達図式,母子相互作用と乳幼児期の発達,青年期の挫折とアイデンティティ形成,中高年の危機と生涯発達 |
渡邊敦子 |
4 |
6/19(火) 2 |
体験としての病 |
病気という体験,病気の受容,病と共に生きるということ |
鈴木厚子 |
5 |
6/26(火) 1 |
ストレス・マネジメント |
代替療法,リラクセーション技法(呼吸法,筋弛緩法,バイオフィードバック),セルフケア |
宮本真巳 |
6 |
6/26(火) 2 |
感性を磨く技法 |
異和感の対自化,フォーカシング,問題の明確化,意思決定支援システム,内発的動機づけ,看護場面の再構成法,セルフケア支援としての看護 |
宮本真巳 |
7 |
7/3(火) 1 |
ボディワークの技法(1) |
ボディワーク(野口体操)の理論と実践(1) |
高岸昭代 |
8 |
7/3(火) 2 |
ボディワークの技法(2) |
ボディワーク(野口体操)の理論と実践(2) |
高岸昭代 |
〔単位〕必修1単位
〔場所〕保健衛生学講義室4(医歯学総合研究棟7階)ほか
4 教科書・参考書
教科書
宮本真巳「感性を磨く技法1看護場面の再構成」日本看護協会出版会,1995
宮本真巳「感性を磨く技法2「異和感」と援助者アイデンティティ」日本看護協会出版会,1995
宮本真巳「感性を磨く技法3 セルフケアを援助する」日本看護協会出版会,1996
参考書
服部祥子「生涯人間発達論」医学書院,2000
リチャード・ラザルス(本明寛他訳)「ストレスの心理学」実務教育出版,1991
ユージン・ジェンドリン(村山正治訳)「フォーカシング」福村出版,1982
5 他科目との関連
看護学原論,看護方法論,精神看護学,精神看護学演習等の科目と関連する。
6 受講上の注意
自分自身の心と身体を学習素材とした体験学習を通じて,自己の内面に生じてくるどんな反応も“やさしく”受け入れる姿勢を身につけて欲しい。
7 成績評価方法
人間理解,自己理解,セルフケア等のテーマに関するレポートによって評価する。