薬　　理　　学

Pharmacology

吉　岡　耕　一

１　科目の概要

薬理学は薬物を生体に与えたときの吸収，生体内分布，排泄などを研究したり，薬物が生体のどんな機能にどのような影響を及ぼすかを，臓器，組織レベルや，細胞レベル，あるいは分子レベルで研究する学問である。薬物治療は医療のなかで特に重要な位置を占めており，薬物に関する正しい知識を見につけることは重要である。

２　教育方針・教育目標

薬理学の学習はたくさんの薬物名の暗記に終始しがちである。最近の薬理学の進歩は速く，次々に新薬が作られており，覚えるべき薬物の数も増加する一方である。しかし，より良い薬物療法を目指すには，まず，薬物療法の基礎となる原理を正確に理解する必要がある。

３　教育内容

以下の項目について講義を行う。

回数	項　　目	内　　容	担当者
1 2	総論（１） 総論（２）	薬理学の構成，薬物とは何か，薬物と法律，薬理作用と作用機序 薬物の反応に影響を与える因子（薬物側の要因，薬物の併用，生体側の要因），薬物動態（投与，吸収，分布，代謝，排泄）	吉岡耕一
3 4	自律神経（１） 自律神経（２）	コリン作動薬，コリン作動性効果遮断薬 アドレナリン作動薬，アドレナリン作動性効果遮断薬，筋弛緩薬，局所麻酔薬	〃
5 6	中枢神経（１） 中枢神経（２）	全身麻酔薬，鎮静睡眠薬，麻薬性鎮痛薬 抗てんかん薬，抗パーキンソン病薬	〃
7 8	中枢神経（３），薬物依存（１） 薬物依存（２）	抗精神病薬， 抗うつ薬，薬物依存 アルコール，タバコ，覚醒剤	〃
9 10	ホルモン（１） ホルモン（２）	脳下垂体、甲状腺、インスリン、カルシウム代謝 ステロイド、抗炎症薬、免疫系	〃
11 12	心・血管系 腎臓，呼吸器系、消化器系	強心薬，抗狭心症薬，抗不整脈薬，降圧薬 利尿薬，鎮咳薬，喘息治療薬、潰瘍治療薬，下剤，貧血治療薬，止血薬，抗凝固薬	〃
13 14	抗炎症薬、免疫抑制薬 抗感染症薬	ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制薬 抗菌薬，抗ウイルス薬	〃
15 16	抗ガン薬 薬害	抗ガン薬 薬害の原因，薬害の本質，薬害の防止	〃

〔単位〕必修２単位

〔場所〕保健衛生講義室４（医歯学総合研究棟７階）

４　教科書・参考書

教科書として

植松ほか（編）：シンプル薬理学（南江堂）

を使用して講義を進める。他の参考書としては以下のものがある。

田中千賀子・加藤隆一（編）：NEW薬理学（南江堂）

今井ほか（編）：標準薬理学（医学書院）

５　他科目との関連

薬理学は基礎医学と臨床医学の中間に位置する。すなわち，薬理学は主に生化学および生理学的手法を用いて研究がなされ，薬理学を理解するには生化学，生理学，細菌学などの基礎知識が必要である。一方で，薬理学で得た知識は，内科学をはじめとする臨床での薬物療法の基礎となる。

６　受講上の注意

時間数は限られているので，講義で触れられなかった領域のことなどを各自自習する必要がある。

７　成績評価方法

筆記試験を行い，評価する。