病原体検査学実習(T)
Microbiology,Laboratory(T)
篠 永 哲
1 科目の概要
病原体検査学(T)は,従来医動物学と呼ばれていた分野である。ここでは,人体に直接病害を起こす動物,間接的にヒトの感染症などを媒介する動物とヒトの関わり合いについて講義・実習を行う。ヒトに病害を与える動物には,原生動物から脊椎動物まで,全ての動物群が含まれる。これらを大きく分けると,寄生虫学と呼ばれる人体の内部に寄生する動物を扱う分野と,衛生動物学と呼ばれ,ヒトの体表に寄生したり,咬傷,刺傷を与えたり,病原体の媒介をしたりする動物を研究する分野がある。
2 教育方針・教育目標
全ての動物群にわたるので,範囲が非常に広いため,現在国内で問題になっている寄生虫や衛生害虫を中心に講義と実習を行う。この他,熱帯地域の発展途上国で働く人や旅行者が感染する可能性のある輸入寄生虫症の問題についても講義する。
これらの寄生虫や衛生害虫の発育史,感染経路などをよく理解し,国際社会においても貢献しうる人材を養成することを一つの目標としている。
3 教育内容
回数 |
内 容 |
担当者 |
1,2 |
総論,線虫類(蛔虫,アニサキス,イヌ蛔虫) |
篠永 哲 |
3,4 |
線虫類(蟯虫,鉤虫,東洋毛様線虫,広東住血線虫,鞭虫) |
〃 |
5,6 |
線虫類(旋毛虫,糞線虫,顎口虫,糸状虫) |
赤尾信明 |
7,8 |
線虫類実習(線虫類虫卵,幼虫,成虫) |
篠永・赤尾 |
9,10 |
吸虫類(住血吸虫,肝蛭,肝吸虫) 吸虫類(横川吸虫,棘口吸虫,肺吸虫) |
赤尾信明 |
11,12 |
吸虫類実習(虫卵,成虫,幼虫,中間宿主) 条虫類(広節裂頭条虫,マンソン裂頭条虫,有鉤条虫,無鉤条虫,包虫,小形条虫,縮小条虫) |
篠永・赤尾 |
13,14 |
条虫類実習(虫卵,成虫の片節,幼虫,中間宿主) 原虫類(アメーバ類,その他,腸管,泌尿器寄生原虫) 原虫類実習(アメーバ類,その他) |
〃 |
15,16 |
糞便内寄生虫検査法 |
〃 |
17,18 |
原虫類(マラリア,トキソプラズマ,その他,血液,組織寄生原虫) |
篠永 哲 |
19,20 |
原虫類実習(マラリア原虫検査法,血液・組織寄生原虫) |
篠永・赤尾 |
21,22 |
節足動物(ダニ類,昆虫類,その他) |
篠永 哲 |
〔単位〕必修1単位
〔場所〕保健衛生学科実習室(医歯学総合研究棟7階)ほか
4 教科書・参考書
特に指定しない。次のようなものが発行されている。
1)医動物学−臨床検査技師とナースのために−,南山堂
2)臨床検査技術学14,医動物学,医学書院
3)臨床検査講座8,医動物学,医歯薬出版
5 他科目との関連
寄生虫は,あらゆる組織,細胞などに寄生するため,検査,原因の追求には,他のほとんどの教科と関連している。例えば,動物については,分類学,生態学,生理学などの知識が必要である。 人体側については,解剖学,組織学,病理学はもとより,血清学,血液学などの知識も必要とする。また,人の生活に関連して公衆衛生学との関連もある。
6 受講上の注意
講義のみでは,寄生動物,有害動物について十分に理解することが困難であるため,標本の供覧や写真での説明も行うので,講義・実習に出席することが大切である。とくに,実習は6回行うが,理由なく2回以上欠席した場合は実習の単位は与えない。
7 成績評価方法
講義は筆記試験で,実習はスケッチとレポートにより評価する。
8 その他
実習では,病原体を扱うこともあるので白衣は必ず持参すること,スケッチブックと色鉛筆および鉛筆(2B)を持参すること。