医用システム情報学講義(T)
Medical Measurement, System and Information,Lecture(T)
若 松 秀 俊
1 科目の概要
現代の医療を支えている各種の検査・診断・治療機器は医用工学や情報科学を基礎としたメカトロニクスの応用分野である。これらを総合的に理解するために,電磁気学,交流理論,回路理論,電子物性,電子回路,ディジタル回路,通信,計測,制御,コンピュータ工学など工学の基礎を学ぶ。これらの分野で特徴的な概念や技術を理解するとともに,各種機能の実現に不可欠なデバイスについても見識を深める。なお,医用機器学との関連から実際の機器の動作原理や性能や保守・安全・管理に関する技術を学ぶ。
2 教育方針・教育目標
現代の医療は各種の検査・診断・治療機器によって支援されている。これらの機器は理工学分野における理論や方法論に基礎をおいている。このような分野は医学と理工学の境界領域として,医用理工学と呼ばれ,これを電子情報・通信・システム工学,コンピュータ工学などが支えている。これらの分野で特徴的な概念や技術を理解するとともに,各種機能の実現に不可欠なデバイスや機器をも概観する。
3 教育内容
電磁気学,電気回路,電子デバイス,電子回路,ディジタル回路について学ぶ。なお,医用機器学との関連から実際の機器の動作原理や性能や保守・安全・管理に関する技術を学び,講義の内容を深めるために実習を行う。
回数 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
1 |
システムの基礎理論 |
システムに関する概念と分類について実例を通して学ぶ。その解釈と『制御』の意味について生物学・医学の立場から考え,工学の概概念との対応関係を理解する。 |
若松秀俊 |
2,3 |
生体システムと制御 |
生体システムに見られる特徴について工学的な観点から解釈し,生体を記述する方法を学ぶ。また,医学が制御理論とどのように関わっているか,その概念と実際の応用について学ぶ。 |
若松秀俊 |
4,5 |
信号処理の基礎 |
離散時間系と連続時間系の実際を学ぶ。時間領域・周波数領域での信号処理を行う |
若松秀俊 |
6,7 |
電磁気学 |
電磁気学の基礎電界,磁界について |
若松秀俊 |
8 |
回路理論 |
電気回路の基礎直流,交流回路について |
若松秀俊 |
9 |
電子物性 |
電子デバイスの基礎半導体素子の特性 |
若松秀俊 |
10 |
電子回路 |
電子回路,電源回路,整流回路,増幅回路,変調復調回路, 波形整形回路などについて |
若松秀俊 |
11 |
増幅回路 |
誘導電極,トランスジューサと増幅器の関連,増幅器の設計と特性の改善演算増幅器とその応用回路差動増幅器と信号対雑音比 |
若松秀俊 |
12 |
デジタル回路 |
加算器の構成,フリップフロップ回路マルチバイブレータの原理 |
若松秀俊 |
13,14 |
計測の基礎 |
電気計測の記録・測定器と測定の原理センサと計測,生理機能の基本的計測 |
若松秀俊 |
15 |
生体機能制御 |
画像計測,治療システム,病院設備と関連機器 |
若松秀俊 |
16 |
救急管理機器 |
循環,呼吸,体温管理,生命維持装置 |
若松秀俊 |
〔単位〕必修2単位
〔場所〕保健衛生学講義室5(医歯学総合研究棟7階)ほか
4 教科書・参考書
教科書
若松秀俊,本間 達著:医用工学−医療技術者のための電気電子工学−,共立出版社,東京。
参考書
谷口慶治,若松秀俊著:医用電子・生体情報,共立出版社,東京。
北村清吉,橋本享:医用工学概論,医歯薬出版,東京。
5 他科目との関連
内容は本科目の実習と併せて一応完結しているが,生理検査学講義・実習をはじめとして検査機器を取り扱う上で重要である。
6 受講上の注意
講義と実習で十分に理解できるように講義を構成しているが,この種の科目の特徴として間が抜けると次が理解できなくなるので,特別な事情が無い限り連続して出席すること。
7 成績評価方法
学期末筆記試験,レポート課題,一部出席点。
再試験は行わない。