成人看護学実習

Clinical Practice of Adult Health Nursing

 

井 上 智 子

 

1 実習の概要・目的

さまざまな健康段階にある成人・老年期の入院患者を1名以上受け持ち,その疾病・治療経過を踏まえながら患者の全人的理解に努め,既習の知識・技術の統合あるいは新たな学習により,必要な看護を指導者とともに実践し,評価することを学ぶ。

 

2 教育目標

1)患者の健康・機能障害を理解し,援助する。

(1)健康・機能障害の原因・誘因を理解する。

(2)患者の自覚症状・他覚症状を把握する。

(3)健康状態を系統的に観察する。

(4)患者の望む療養生活や治療法の選択を理解し,適切な援助をする。

(5)行われる検査・治療・処置の目的と内容を理解する。

(6)患者が検査・治療・処置を適切に受けられるように援助する。

 

2)生命が脅かされている場合には,生命維持・回復のための看護活動ができる。

 

3) 異常の予防・早期発見・機能回復のための援助をする。

(1)予測される悪化因子を指摘する。

(2)悪化の徴候を早期に発見し,予防的な看護活動を行う。

(3)機能回復のための適切な看護活動を行う。

 

4)健康・機能障害に伴う日常生活上の制限に対し,援助を行う。

(1)患者・家族が機能障害をどのように受けとめているかを把握する。

(2)日常生活上の制限を身体的・心理的・社会的側面に沿って理解する。

(3)日常生活上の制限をできるだけ軽減するように援助する。

(4)患者の症状,苦痛を和らげるような援助を行う。

(5)患者の心理的・社会的問題を把握する。

(6)患者の心理的・社会的問題の解決への援助をする。

(7)自己管理を阻害する因子を指摘する。

(8)自己管理ができるように援助する。

(9)患者に必要な社会的資源を列挙する。

10)日常生活の制約上の家族の心理的・社会的問題を把握する。

11)家族の心理的・社会的問題の解決への援助をする。

 

5)リハビリテーション期における援助を行う。

(1)リハビリテーション訓練が円滑に受けられるように援助する。

(2)病棟内の日常生活でリハビリテーション訓練内容や成果を活用した援助をする。

 

6)在宅療養・社会復帰に向けての援助を行う。

(1)患者に適した退院後の日常生活目標を設定する。

(2)退院後の生活目標に向けて,適切な援助を行う。

 

7)医療チームにおける看護師の役割を理解する。

(1)医師,その他の関係職種の役割を理解する。

(2)チームにおける看護師の役割を理解する。

 

 

8)以上に関して患者個別の問題を看護過程を用いて実践する。

(1)情報収集する。

(2)収集した情報を分析,統合し,看護診断する。

(3)具体的な目標を設定する。

(4)目標達成のための看護活動を計画する。

(5)計画した看護活動を実践する。

(6)展開した看護過程を評価する。

 

9)看護専門職としてふさわしい態度を身につける。

(1)看護技術の一般的手順と原則をふまえ,患者の個別性を加味し,実施においては十分な復習と準備を行う。

(2)患者の援助においては常に安全と安楽を考慮する。

(3)患者の持てる力を生かした援助方法を考える。

(4)情報収集を看護援助に生かすとともに,看護援助をしながら情報収集をする。

(5)援助を提供する側・される側の視点から,のぞましい手順や方法を考え,実践する。

(6)グループメンバー間で互いに協調しながら実習に臨む。

(7)看護とは何かを考え,学究的態度(文献活用・事例検討)で実習する。

(8)適切に,あいさつや返事をする。

(9)連絡・報告には責任をもつ。

10)受け持ち看護師や指導者に相談し,助言やコメントを積極的に得ようと努める。

11)看護援助の実践に先立ち,患者の了解ならびに受け持ち看護師との連絡・調整を行う。

 

3 実習内容・方法等

〔単位〕必修3単位

 

(詳細については実習要項参照)