生  理  学

Physiology

 

佐 藤 健 次

 

1 科目の概要

生命のあるもの,すなわち生体の生命現象のメカニズムを自然科学の立場から実験とその観察に基づいて究明する学問。

 

2 教育方針・教育目標

生体の働きについてのメカニズムの基本的事項を,解剖学の知識を基盤にヒトの体の機能を中心に理解させることを目標とする。臨床医学の基盤として正常な人体の機能を正しく理解することは疾病により人体機能の変化を理解する上で,看護学にとって極めて大切なことである。

 

3 教育内容

生体の機能は基本的機能と高次機能に大別して考えられている。基本的機能は動物と植物の両者に共通に認められる機能を意味し,呼吸,血液循環,消化と吸収,代謝,排泄,内分泌等の生体の維持に関する機能がこれに属する。一方,高次機能は動物において発達,特殊化した機能を意味し,運動,神経,感覚等がこれに属する。これらの生体の機能について順次,要点を講義する。

 

【生理検査学講義(T)】

回数

項  目

内  容

担当者

1

総論

生理学の概念,意義

佐藤健次

2,3

体液と血液と生体防御

体液,血液とその成分,血液型,リンパ液、組織液、細胞の機能、生体防御

4,5

心臓と血液循環の仕組み

心臓の機能、血液循環,血管の構造、血流の調節、血圧、動脈系循環、冠状循環、脳循環、腹腔循環、静脈系の循環、リンパ循環、循環器系の検査(心電図,心音図,脈波,心臓エコー)

6,7

呼吸運動、ガス交換の仕組み

呼吸器の機能、呼吸運動(胸式,腹式),呼吸の調節、呼吸器系の検査(呼吸機能,ガス代謝,血液ガス)

8,9

消化,吸収,排泄

咀嚼機能、嚥下作用、消化腺の分泌,消化液の酵素とその作用、栄養吸収と水分吸収,排便の仕組み,腸管運動,消化器系の検査(腹部エコー)

10,11

栄養と代謝

栄養素,糖質代謝,脂質代謝,蛋白質代謝,エネルギー代謝,基礎代謝,補助栄養素、酸塩基平衡

12,13

尿の生成と排泄

腎臓の機能と尿の生成、排尿の仕組み

14

体温調節

体温,熱の産生,放熱,発汗の仕組み

15

内分泌

ホルモン分泌器官、各種ホルモンの作用)

16

生殖

男性生殖機能(精子形成、射精)、女性生殖機能(排卵、受精,着床)、妊娠と分娩

 

17

神経,シナプスと筋

神経生理の基礎,活動電位、神経線維の種類、シナプス伝達,筋,筋系の検査(筋電図)

18,19

神経系

体性神経系(脳神経と脊髄神経系)、自律神経の機能(交感神経と副交感神経)中枢神経系(脳と脊髄)、大脳と大脳辺縁系、脳幹(延髄、橋、中脳、小脳、間脳)、睡眠、神経系の検査(脳波,画像解析)

 

20,21

感覚

体性感覚、内臓感覚、特殊感覚,視覚、眼球運動、聴覚、平衡感覚、味覚、嗅覚

22,23

運動器(筋系)

筋の分類とその機能、骨格筋収縮の仕組み(筋電図)、運動とその調節、平滑筋、心筋、発声の仕組み

 

〔単位〕必修3単位

〔場所〕保健衛生学講義室1(医歯学総合研究棟18階)

 

4 教科書・参考書

教科書 佐藤健次,北村清吉:生理学,医歯薬出版 第2版

参考書 木邑富久子,根木英雄:シンプル生理学,南江堂

本郷利憲,廣重 力,豊田順一,熊田 衛編集:標準生理学,医学書院

真島英信:生理学,文光堂

佐々木成一,佐藤健次編集:コメディカルの基礎生理学,廣川書店

 

5 他科目との関連

人体の構造を熟知したのち,それらの様々な機能についての基本的事項を理解するのが生理学である。生理学は解剖学とは表裏一体をなすとともに,他の多くの科目,特に薬理学,生化学,栄養学,病態学等とは密接な関係がある。

 

6 受講上の注意

時間数が限られているので,講義に関連した領域について各自,予習ならびに復習することが必要である。

 

7 成績評価方法

講義:前期の試験期間に筆記試験を行う。