保健医療福祉制度論演習
Seminar
of Health and Welfare System
眞 野 喜 洋
1 科目の概要
この科目は,社会保障制度および行政,立法について学ぶものである。医療保障制度,所得保障制度,社会福祉の各分野については,保健医療福祉制度論でも扱っているので,ここでは,特に,医療関係法規に基づく制度のあり方,医療過誤,看護師の法的位置づけと責任,および社会福祉サービスや社会資源の活用方法,保健サービス,医療行政・薬事行政等の厚生行政等について学習する。制度や法規の知識を身に付けながら,社会や医療現場について考え,制度の問題点についても知る。制度は法によって制度化されるため,授業の進め方としては,主に,法的な問題を発展させて制度を考え,今後どうあるべきかについても個々が考察できるようにする。保健医療福祉制度論と合わせて,わが国の保健医療福祉制度に関する知識を今後の保健医療活動に生かすことができるよう知識と考え方を身につけたい。
2 教育方針・教育目標
保健医療福祉制度および行政,立法に関する知識を相互に関連づけて把握し,自らの保健医療活動に役立たせることができるようになることははもちろん,保健医療の現場において対象者への援助や問題解決に際し,問題点を的確に把握し,社会資源の知識の提供,および実践ができるようになることを目標とする。
3 教育内容
回数 |
日 時 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
1 |
4/5(火) 3 |
・社会保障制度および行政総論 ・法規の概念 |
・社会保障の概念 ・行政および制度における最近の動向 |
眞野喜洋 山見信夫 |
2 |
4/5(火) 4 |
・立法 総論 |
・医療過誤事件において問題となる民事責任,刑事責任,行政上の責任について概略を説明し,重要条文を紹介する。 ・医療過誤訴訟の件数・期間・勝訴率などの推移についても紹介する。 |
山見信夫 菊池健二 |
3 |
4/12(火) 3 |
・社会保障制度 ・医事法規I |
・保健師助産師看護師法、医師法、歯科医師法などの医事法規について学ぶ。 |
山見信夫 |
4 |
4/12(火) 4 |
・看護師の法的位置づけと責任 |
・民事責任,刑事責任,行政上の責任を詳細に説明し,看護師の法的位置づけと責任などについて解説する。 |
菊池健二 |
5 |
4/19(火) 3 |
・社会保障制度 ・医事法規II |
・看護師等の人材確保の促進に関する法律、医療法などの医事法規について学ぶ。 |
山見信夫 |
6 |
4/19(火) 4 |
・看護師の法的位置づけと責任 ・患者の自己決定権 |
・看護師の法的位置づけと責任について詳細に解説する。 ・患者の自己決定権,医師・看護師の守秘義務などについても説明する。 |
菊池健二 |
7 |
4/26(火) 3 |
・社会保障制度 ・薬事法規 ・保健衛生法規 |
・薬事法、薬剤師法などの薬事法規について学ぶ。 ・地域保健法、母体保護法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、精神保健福祉士法、母子保健法、老人保健法などの保健衛生法規について学ぶ。 |
山見信夫 |
8 |
4/26(火) 4 |
・医療類型別I |
・医療類型別(問診,検査,投薬・注射,手術,麻酔,患者管理,周産期医療,医療水準等)に裁判例(主に民事)を紹介する。 |
菊池健二 |
9 |
6/6(月) 1 |
・社会保障制度 ・予防衛生法規 ・環境衛生法規 ・公害関係法規 |
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、予防接種法、結核予防法などの予防衛生法規について学ぶ。 ・食品衛生法などの環境衛生法規について学ぶ。 ・環境基本法などの公害関係法規について学ぶ。 |
山見信夫 |
10 |
6/13(月) 1 |
・医療類型別II |
・医療類型別(問診,検査,投薬・注射,手術,麻酔,患者管理,周産期医療,医療水準等)に裁判例(主に,民事)を紹介する。 |
菊池健二 |
11 |
6/13(月) 2 |
・医療保険制度と医療機関 ・病院・診療所の現状と課題 |
・健康保険法の立法趣旨を踏まえたうえで、給付の種類や範囲について整理する。医療機関の施設基準を比較し、各医療機関およびその従事者の役割と責任について考察する。 ・将来保健医療福祉サービスを評価し調整するために必要な基本知識を、具体事例を検討することにより定着させる。 |
山見信夫 八児正紀 |
12 |
6/20(月) 1 |
・医療類型別III |
・医療類型別(問診,検査,投薬・注射,手術,麻酔,患者管理,周産期医療,医療水準等)に裁判例(主に,民事)を紹介する。 |
菊池健二 |
13 |
6/20(月) 2 |
・介護保険制度と介護保険事業者 ・介護保険事業者の現状と課題 |
・介護保険法の立法趣旨を踏まえたうえで、給付の種類や範囲について整理する。 ・介護保険事業者の施設基準を比較し、各サービス事業所およびその従事者の役割と責任について考察する。 |
八児正紀 |
14 |
6/27(月) 1 |
・医療過誤の防止 |
・医療類型別(問診,検査,投薬・注射,手術,麻酔,患者管,周産期医療,医療水準等)に裁判例(主に民事)を紹介する。 ・刑事事件の裁判例を紹介し,医療過誤事件を減らすにはどうすればよいかについて考える。 |
山見信夫 菊池健二 |
15 |
6/27(月) 2 |
・保健医療福祉に関連する行政機関の法的基盤・財政基盤 ・保健施設の現状と課題 |
・保健医療福祉に関連する行政機関の法的基盤・財政基盤について整理する。 ・保健施設の設置基準を検討し、保健施設およびその従事者の役割と責任について考察する。 |
八児正紀 |
16 |
7/4(月) 2 |
・保健医療福祉の計画と評価 |
・行政単位毎に実際行われている保健医療福祉政策における各種の計画内容を数例取り上げ、その有効性と問題点を考察する。 ・各サービスにおいて従事する上で必要となる資質についても演習する。 |
山見信夫 八児正紀 |
〔単位〕必修1単位
〔場所〕保健衛生学講義室1(医歯学総合研究棟18階)
4 教科書・参考書
教科書
小島喜夫:系統看護学講座 社会保障制度と生活者の健康 関係法規 医学書院,東京
参考書
眞野喜洋(編著):スタンダード 公衆衛生学,文光堂,東京
5 他科目との関連
保健医療福祉制度論,公衆衛生学,地域看護学,老年看護学看護学とは密接な関係にあり,クロス・オーバーする領域が多い。母性,成人,精神の各看護学とも関連性が深い。
6 受講上の注意
保健医療福祉制度論演習は,多くの領域と深く係わりをもつ分野であり,時代とともに移り変わりが激しい。よって,日頃からマスメディアの医療関連ニュースについては関心を持つことが望ましい。
7 成績評価方法
学期末筆記試験,および出席点などにより評価する。