老年看護学

Gerontological Nursing

 

高 崎 絹 子

 

1 科目の概要

高齢者に特有な疾患を理解し,高齢者を対象とした看護の基礎知識と独自の技術方法の理論を学ぶ。また,老年看護学の背景となる保健・医療・福祉の動向を知り,医療チームの一員として多角的な視野をもって,ケアを行う基本的な姿勢を学ぶ。

 

2 教育方針・教育目標

・教育方針

高齢化社会を迎え,時代のニーズに応じた看護の役割と機能を果たすことが求められている。平成元年のカリキュラム改正により,老年看護学は看護教育の主要科目の柱の一つとして独立し,平成9年の改正においても,さらに強化する方向が打ち出された。こうした状況について配慮しながら,老年看護学の教育を展開したい。

老年看護学の教育方針は,老年期にある対象を理解し,看護援助を創造していく知識と技術を養うことである。さらに,学問としての老年看護学の確立に資することを目指している。

・教育目標

1)老年期にある対象の身体的・精神的・社会的側面の特徴を理解する。

2)高齢者の健康障害とそれに伴う諸問題を理解する。

3)高齢者と家族に対する看護援助の基本を習得する。

4)高齢者の健康状態を維持するための保健・福祉・医療の活動を理解し,その中で看護の役割について理解する。

5)多くの人生経験をつんだ高齢者を尊重する態度を養う。

 

3 教育内容(*日程,内容など詳細については別配布する。)

回数

日 時

項  目

内  容

担当者

1

2

4/12(月)

1,2

老年看護学:総論

老年期の特徴とその理解

老年看護学の意義について学ぶ。

老年期に特有な身体的,社会的,心理的変化について理解する。

高 崎

(阿部,千葉)

3

4

4/19(月)

1,2

高齢者ケアと保健医療福祉制度

加齢に伴う身体変化(1)

高齢者の保健・医療・福祉に関する法律や最近の動向などを理解する。

加齢に伴う身体変化を把握する基本的な方法(フィジカルアセスメント)を理解する。

高 崎

 

阿 部

 

5

6

4/26(月)

1,2

加齢に伴う身体変化(2)

老年期に多い疾患(1):呼吸器系

加齢に伴う身体変化を評価する際の基本的な方法を理解する。

老年期に起こりやすい呼吸器系の疾患について病態学と治療の視点より学ぶ。

千葉,高崎

 

小 山

(本 学)

7

8

5/10(月)

1,2

老年期に多い疾患を持つ患者の看護展開(1)

老年期に多い疾患(2):脳神経系

老年期に起こりやすい脳神経系の疾患を有する患者の看護の事例展開を学ぶ。

老年期に起こりやすい脳神経系の疾患について病態学と治療の視点より学ぶ。

阿 部

石 川

(本 学)

9

10

5/17(月)

1,2

老年期に多い疾患を持つ患者の看護展開(2)

老年期に多い疾患(3):内分泌系

老年期に起こりやすい内分泌系の疾患を有する患者の看護の事例展開を学ぶ。

老年期に起こりやすい内分泌系の疾患について病態学と治療の視点より学ぶ。

千葉,高崎

名 和

(本 学)

11

12

5/24(月)

1,2

老年期に多い疾患を持つ患者の看護展開(3)

高齢者の終末期と援助の展開

老人病院や一般病院における高齢患者の急性期,慢性期疾患の事例をもとに看護過程を展開する。

病院での実例をもとに,高齢者の終末期と援助の実際について学ぶ。

千葉,高崎

竹 内

(元信愛病院)

13

14

5/31(月)

1,2

老年期の医療ケアシステム

老年期の精神疾患(1)

高齢者ケアに伴うチーム医療のあり方やDischarge Planningについて学ぶ。

老年期に起こりやすい精神疾患・障害について学ぶ。

千葉,高崎

15

16

6/7(月)

1,2

老年期に多い疾患を持つ患者の看護展開(4)

老年期の精神看護(2)(痴呆性老人の看護)

老人病院や一般病院における高齢患者の急性期,慢性期疾患の事例をもとに看護過程を展開する。

痴呆の病態生理,介護をめぐる高齢者と家族の問題について学ぶ。

千葉,高崎

 

17

18

6/14(月)

1,2

高齢者の自立を促す日常生活の援助

失禁,排泄,廃用症候群などの予防,改善するための援助について学ぶ。

千葉,高崎

 

19

20

 

6/21(月)

1,2

特別講義(老人と薬)

臨床における高齢者への薬剤管理とその基本的知識について学ぶ。

安 原

(本 学)

21

22

6/28(月)

1,2

老年期に多い疾患を持つ患者の看護展開(5)

高齢者と倫理・法的課題

急性期,慢性期疾患を持つ高齢者の看護過程のポイントと看護の視点の整理を行う。

臨床の現場から,事例をもとに高齢者のケアのあり方について理解する。

千葉,高崎

高 崎

23

24

7/5(月)

1,2

高齢者の包括的理解

長期的ケアを考慮した高齢者への看護展開を学ぶ(MDSを用いて)。

阿 部

〔単位〕必修3単位

〔場所〕第2講義室(3号館9階)ほか

 

4 教科書・参考書

1)井上幸子,平山朝子,金子道子:老人の看護,日本看護協会出版会,1998.

2)高崎絹子,北川公子:老人看護事例集,真興交易医書出版部,1993.

3)大友英一,高崎絹子:ナースのための老年医学,南山堂,1999.

 

5 他科目との関連

対象別看護として高齢者を対象としているため,病態学,生理学などの基礎的な医学知識や基礎・成人看護学における内容をふまえながら,高齢者独自の看護学の授業を展開する。

 

6 受講上の注意

授業中の入退室は,原則として認めない。

 

7 成績評価方法

学期末の試験を主とし,出席状況や課題レポートなどを総合的に評価する。