救急医療の臨床検査・日常検査の緊急値

Laboratory Medicine in Emergency

 

窪 田 哲 朗

 

1 科目の概要

最近,チーム医療の重要性を指摘する声が高まっている。医療内容が高度かつ複雑になるにつれ,最善の治療効果が発揮されるためにも,医療過誤を防止するためにも,従来にもましてコ・メディカルの積極的な関与が必要とされているためである。臨床検査技師は多数の検査データの中に,即刻医師に報告しなければならない情報が含まれていれば,これを見逃してはならない。この科目は,そのような判断を下すための基礎知識を提供する。臨床検査の現場で働くつもりの学生は,是非受講するよう希望する。

 

2 教育方針・教育目標

この授業に参加することによって,基本的,日常的臨床検査項目については,およその基準範囲を覚え,緊急に報告すべき異常値と,その臨床的意義を指摘できるようになる。

 

3 教育内容

回数

日 時

項  目

内   容

担当者

1

10/2(木)

1

イントロダクション

一般的な血液検査データのみかたの基本

窪田哲朗

2

10/3(金)

1

消化器

消化器系の緊急病態と臨床検査

佐藤千史

3

10/9(木)

1

救急医療

救急医療の現場が求める臨床検査技師の役割

今井孝祐

4

10/10(金)

1

呼吸器

呼吸器系の緊急病態と臨床検査

臼井裕

5

10/23(木)

1

循環器

循環器系の緊急病態と臨床検査

川良徳弘

6

10/24(金)

1

血液

血球検査、凝固・線溶系検査が示す緊急病態

小山高敏

7

10/30(木)

1

中枢神経

痙攣,意識障害の鑑別

大久保善朗

8

11/6(木)

1

まとめ

 

窪田哲朗

〔単位〕選択1単位

〔場所〕講義室A(3号館4階)ほか

 

4 教科書・参考書

たとえば河合忠,水島裕 編,今日の臨床検査(南江堂)などの,臨床検査値の読み方を解説したハンドブックを携帯されたい。

図書館で内科学の教科書などを参考にして理解を深めて欲しい。

 

5 他科目との関連

他の総ての専門科目と関連する。特に4年生の臨床病態学が理解しやすくなる。

 

6 受講上の注意

授業中に扱われた具体的な疾患,病態について,参考書をみて復習し,試験の際に答えられるように整理しておくこと。

 

7 成績評価方法

筆記試験。

過去の出題例:糖尿病で他院に通院中であった中年男性が,意識障害にて救急車で来院した。ただちに気道確保,酸素吸入,動脈ライン確保が行われ,緊急検査に提出された動脈血サンプルが次の値を示した。どのようなことがわかるか,説明せよ。また,このとき検査技師はどのような行動をとるべきか。

pH  7.042,    PaCO2 14.0,    PaO2 141.7,    HCO3- 3.8,    Hb 17.8,    Na+ 142,    K 7.1,    Cl- 109,   Glu 1391

 

8 その他

医療過誤を防止する上でのチーム医療の重要性が指摘されているため,医学科の教官と保健衛生学科の教官が共同で企画した。具体的な臨床検査のデータを見ながら,それらが救急医療や重症者の診療の現場に提供されることの意義を理解できるよう,実践的な内容の講義を行う。