医学情報処理演習(II)
Principles
and Practice of Medical Information Processing(II)
田 中 博
1 科目の概要
今日の医療において情報科学の果たす寄与は日々大きくなっている。医療の実践において情報科学・コンピュータ技術のもたらした成果を理解し,それを十分活用できるように本学では教養部から一貫した方針に基づく情報教育を目指している。
検査技術学専攻における本情報処理演習では,検査分野における医療情報システムを中心に,実際的な臨床検査情報システムから先端の遺伝子工学の医療応用まで広く学習するとともに,その情報処理の基礎を,パソコン操作を通して実習する。
2 教育方針・教育目標
医療の現場において必要とされる情報処理の技術を修得するために,まず医療情報学の全体像を学ぶ。さらに医療に現実的に使用されている情報システム,すなわち病院情報システム,検査情報システム,医用画像処理システム,遠隔医療情報システムなどや、インターネットの医学医療応用および医療情報のセキュリティーと標準化の基本観念を学ぶとともに演習する。最後に最近特に重要性が増しつつある根拠に基づく医療(EBM)とそれを支える治験情報の基礎概念を学ぶ。
3 教育内容
回数 |
日 時 |
項 目 |
内 容 |
担当者 |
1 2 |
4/9(水) 1,2 |
医療情報学概論 病院情報システム概論 |
・医療情報学の概要を学ぶ ・病院情報システムと電子カルテの歴史,目的,動向などの基礎概念を学ぶ |
田中 博 |
3 4 |
4/16(水) 1,2 |
テーラーメイド医療とゲノム情報処理 |
・テーラーメイド医療に必要なゲノム情報処理と解析手法の概要を学ぶ ・ゲノム情報の検索などの基本操作を実習する |
田中 博 |
5 6 |
4/23(水) 1,2 |
生物医用画像処理 バーチャルリアリティーの医療応用 |
・医用生物画像を対象に画像処理の基本操作法を実習する ・3次元医療画像システムについて先端的な実例で実習する |
田中 博 |
7 8 |
5/7(水) 1,2 |
インターネットの医学医療応用概論・実習 |
・インターネットの医学医療応用の歴史,目的,動向などの基礎概念を学ぶ ・インターネットの医学医療応用について実例で実習する |
西堀 眞弘 |
9 10 |
5/14(水) 1,2 |
地域医療情報システム 遠隔医療システム |
・地域医療情報システムの基礎概念を学び示説で実習する ・遠隔医療システムの基礎概念を学び示説で実習する |
田中 博 |
11 12 |
5/21(水) 1,2 |
医療情報のセキュリティーと標準化 |
・医療情報のセキュリティーと標準化の基礎概念を学ぶ ・コンピュータウイルスと不正アクセスへの対策について実例で実習する |
西堀 眞弘 |
13 14 |
5/28(水) 1,2 |
診療支援システム 検査情報システム 病院情報システム実習 |
・診療支援システムと検査情報システムの基礎概念を学ぶ ・上記システムや電子カルテを含む病院情報システムを見学により実習する |
西堀 眞弘 |
15 16 |
6/4(水) 1,2 |
EBM(根拠に基づく医療) 治験情報 |
・EBMの基礎概念を学ぶ ・治験とその情報システムの基礎概念を学び見学により実習する |
西堀 眞弘 |
〔単位〕必修1単位
〔場所〕講義室B(3号館4階)ほか
4 教科書・参考書
参考書として,
田中 博,電子カルテとIT医療 NMブック新医療叢書シリーズ(エム・イー振興協会)
日本臨床病理学会編,臨床検査情報学(臨床病理刊行会)
などがある。
5 他科目との関連
医療情報処理演習(I)と関連が強い。
6 受講上の注意
医療情報システムは最近急速に発展している。新聞・テレビなどマスメディア等で,先端的な事例が報告されることもあるので,日頃からこれらの関心をもつことが望ましい。
7 成績評価方法
出席点,レポート,筆記試験等で総合的に評価するが,演習であり,出席点の比重が大きい。