分析化学検査学講義(I)

Analytical Chemistry,Lecture(I)

 

芝   紀代子

 

1 科目の概要

診療の最初の窓口となる検査を主に学ぶ。尿成分定性の検査方法とその臨床的意義を学ぶ。スクリーニングの段階での異常値発見が臨床診断上大いに貢献する事を認識してもらう。さらに血液以外の体液(尿,脳脊髄液,胃液,十二指腸液)や糞便を検体とし,その中に含まれている種々の成分を分析し,その成分の変動が疾患とどのような係わり合いを持つかを学習する。

 

2 教育方針・教育目標

尿をはじめ体液成分の変動と病態との密接な関係を充分理解してもらう。

 

3 教育内容

検体の取り扱い方,尿中化学成分に関する種々の分析法とその臨床的解釈,尿沈渣の読み方とその臨床的解釈,糞便,胃液,十二指腸液,脳脊髄液成分に含まれる成分分析法と臨床的解釈について理解する。

回数

項  目

内  容

担当者

1

一般検査の概念(1)

尿の採取法,一般的性状(外観,浸透圧,比重など)

芝 紀代子

2

一般検査の概念(2)

尿定性試験紙の取り扱い方と判定の仕方

尿定性試験紙で得られた各項目の測定意義

3

尿沈渣

尿沈渣の測定意義と臨床的意義

伊藤機一

(神奈川県立

衛生短大)

4

尿蛋白(1)

尿蛋白出現の機序,尿蛋白の種類,蛋白定性検査法

芝 紀代子

5

尿蛋白(2)

尿蛋白定量法と各蛋白に対する反応性,特異蛋白の検出法

6

7

尿蛋白(3)

尿中アルブミン,トランスフェリン

尿蛋白分画とその解釈,尿蛋白の測定意義

尿中アルブミン,トランスフェリンの定量法,臨床的意義,糖尿病性腎症の早期発見の指標

8

9

低分子蛋白(1)

低分子蛋白(2)

低分子蛋白の種類,定量方法,臨床的意義,抗生物質投与による腎毒性

10

11

尿糖(1)

尿糖(2)

尿糖出現の機序,尿糖定性検査法

尿糖定量検査,尿糖の測定意義

12

13

成分分析(1)

成分分析(2)

アセトン体,胆汁色素,ウロビリン体の測定方法とその測定意義

ポルフィリン体,フェニルケトン体,アルカプトンノ測定方法とその測定意義

14

15

成分分析(3)

成分分析(4)

血尿,血色素尿とミオグロビン尿との鑑別法,各測定法とその意義

5-ヒドロキシインドール酢酸,バニリルマンデル酸と脂肪の測定法と意義

16

17

尿中酵素

腎機能検査

尿中酵素の出現機序,NAG,G-GTの測定法とその測定意義

腎機能の部位別機能検査とその測定方法

18

19

細菌尿

尿沈渣

細菌尿の検査法とその測定意義

鏡検用標本の作製,鏡検法,染色法,尿沈渣の鏡検所見

20

21

尿沈渣の見方・解釈

糞便の成分

沈渣の見方と病態との関係

一般的性状,便潜血の測定法と大腸癌との関連

22

23

喀痰と脳脊髄液

十二指腸液と穿刺液,精液

喀痰の採取法と肉眼的観察と顕微鏡的観察,髄液の検査法

十二指腸液と穿刺液の検査法とその測定意義

精液の検査法とその測定意義

〔場所〕検査系講義室(3号館8階)ほか

〔単位〕必修3単位

 

4 教科書・参考書

教科書:「臨床検査総論」新編臨床検査講座15 医歯薬出版

参考書:高橋正宣,伊藤機一編:カラーアトラス 尿検査 医歯薬出版

長浜大輔:尿沈渣 文光堂

 

5 他科目との関連

化学,生化学検査で学んだ知識及び技術が,一般検査を学ぶ上でも基礎となる。そして,一般検査で学んだ知識が化学検査学で習う血清中の成分分析へと発展する。

 

6 受講上の注意

欠席しないこと

 

7 成績評価方法

学期末筆記試験及び出席点により評価する。