人体構造学講義・実習

Anatomy，Lecture・Laboratory

 

佐　藤　健　次

 

１　科目の概要

人体構造学は生命活動を支える人体の基本設計を細胞から器官レベルの構造について探求する学問で，生命科学の基礎となる重要な学問である。

 

２　教育方針・教育目標

人体を構成している細胞から器官にいたる各単位について，それらの基本的な形態と構造について理解させる。さらに検査技術学を学ぶための学問体系の基礎をなす人体の構造を講義のみならず，実物観察の実習にも主眼をおいて，理解させることを教育方針とする。

 

３　教育内容

＜人体構造学講義＞

人体を各系統に分け，それらを構成する各器官の形態について講義し，基礎的な人体解剖学の概念を十分に理解できるように努める。

回数	項　　目	内　　容	担当者
1	総論	人体構造学とはなにか，器官とその系統，組織とその分類	佐藤健次
2 3	骨格系	骨組織，骨の発生，骨の連結(靭帯，関節)，脳頭蓋，顔面頭蓋，脊柱，胸郭，骨盤，上・下肢帯骨，上肢・下肢骨	〃
4 5	筋系	筋の形態と構造，筋膜，顔面筋，咀嚼筋，鰓弓(頸部)筋，体幹筋，上・下肢帯筋，上肢・下肢筋	〃
6 7 8	脈管系	血管の構造，心臓の構造，刺激伝導系，心膜腔，動脈系，静脈系，リンパ系，胎生時の循環系	〃
9 10	消化器系	消化管の構造，口腔，咽頭，食道，胃，肝臓，胆嚢，膵臓，小腸，大腸，肛門，腹腔	〃
11 12	呼吸器系	鼻腔，副鼻腔，咽頭，喉頭，気管，気管支，肺の構造，胸腔	〃
13	泌尿器系	腎臓，尿管，膀胱，尿道	〃
14	生殖器系（男性，女性）	精巣，精管，前立腺，陰茎，卵巣，卵管，子宮，膣，外陰部，骨盤の構成，骨盤腔	〃
15 16 17 18	神経系(中枢神経，末梢神経)	神経系の構造，脳，脊髄，脳神経，脊髄神経，自律神経，伝導路	〃
19 20	感覚器系	眼球とその付属器，平衡・感覚器，嗅覚，皮膚(乳腺)，味覚	〃
21	内分泌系	下垂体，甲状腺，上皮小体，副腎，膵臓，卵巣，精巣，脾臓，胸腺	〃
22	発生学	受精から出生までのあらまし	〃

〔単位〕必修３単位

〔場所〕新II講堂（３号館４階）ほか

 

＜人体構造学実習＞

２年次後期に行う。時間の許す限り，実習見学を行い，人体構造の把握に努める。実質臓器に関しては実物の観察を通して,人体構造に関する洞察力を増すよう努める。

回数	項　　目	内　　容	担当者
1	解剖実習体見学	筋の解剖，胸腹部内臓	佐藤健次 長雄一郎
2	骨学	骨格全身標本	〃
3	循環器	心臓の解剖	〃
4	胸・腹部臓器の解剖	呼吸器，消化器，泌尿生殖器	佐藤健次 長雄一郎
5	脳解剖（１）	脳膜，血管，脳神経	佐々木　宏
6	脳解剖（２）	脳の内側面	〃
7	脳解剖（３）	脳の内部（断面解剖）	〃
8	末梢神経系の解剖	脊髄神経，自律神経	佐藤健次 長雄一郎
9	組織学実習（１）	総論	佐藤哲二 河合由樹子
10	組織学実習（２）	各論（呼吸器，消化器）	〃
11	組織学実習（３）	各論（泌尿生殖器，内分泌器）	〃

〔単位〕必修１単位

〔場所〕形態検査実習室（３号館２階）ほか

 

４　教科書・参考書

教科書　藤田恒夫：入門人体解剖学，南江堂

参考書　解剖学用語，日本解剖学会，丸善

佐藤達夫訳：人体解剖学カラーアトラス，南江堂

越智淳三訳：解剖学アトラス，文光堂

藤田恒夫，藤田尚男：標準組織学，総論，各論，医学書院

佐藤健次：解剖学，医歯薬出版

 

５　他科目との関連

人体の様々な病態を理解するためには，人体の構造を熟知しなければならない。このため人体構造学は他の多くの科目と関連している。特に，生理検査学（II），病理検査学，医学概論，臨床病態学とは密接な関連がある。

 

６　受講上の注意

１）特に，人体構造学は人体に関する様々な用語をまず，記憶することが求められる。さらに，講義時間数が限られているので，講義に関連した領域について各自，自習することが必要である。

２）実習に関しては，必ず白衣を着用し，担当教官の指示に従うこと。

 

７　成績評価方法

講義：前期の定期試験期間に筆記試験を行い総合的に判定する。出席時間数の満たないものは定期試験の受験資格を認めない。

実習：後期の実習期間内に小試験あるいは実習課題によるレポートの採点により，総合的に判定を行う。各実習担当教官の採点が１名でも合格点に満たないものがある場合には不合格とする。