宮 本 真 巳
1 科目の概要
精神疾患患者の看護を中心に,あらゆる精神的援助の方法とその理論的背景について学ぶ。
2 教育方針・教育目標
精神医療の歴史が精神保健福祉の現状にどう反映しているかを明らかにしながら,看護職として精神障害者への全人的理解を深め,精神障害者の成長と自立を支援するために必要な方法とその理論的な背景について学ぶ。
3 教育内容
回数 |
項 目 |
講 義 内 容 |
担当者 |
1 |
精神科看護と精神看護の目的と機能 |
精神疾患患者の看護,身体疾患患者への精神的支援,精神的健康の維持と増進 |
宮本真巳 |
2 |
精神疾患と患者体験 |
患者としての病気体験,入院体験,精神障害を抱えて生きるということ |
尾山篤史 |
3 |
対人関係論からみた精神看護 |
看護場面の再構成法とその理論的背景,最構成法による看護場面の検討 |
宮本真巳 |
4 |
精神医療と精神科看護の歴史 |
精神医療の歴史(世界・日本),精神科看護の歴史(世界・日本) |
式守晴子 |
5 |
精神科看護における情報収集とアセスメント |
精神科看護に必要な情報,精神科領域における看護診断 |
〃 |
6 |
医療機関における精神疾患患者 |
治療共同体の理念と方法,治療環境としての病院,精神科入院患者の看護 |
〃 |
7 |
相談面接の技法(1) |
クライエント中心療法の理念と方法(共感,受容,自己一致) |
宮本真巳 日下和代 |
8 |
相談面接の技法(2) |
精神療法の原則,ジェノグラム(家族歴)の方法 |
〃 |
9 |
グループワーク(1) |
集団精神療法の体験学習 |
〃 |
10 |
グループワーク(2) |
セルフヘルプ・グループの体験学習 |
〃 |
11 |
グループワーク(3) |
サイコドラマの体験学習 |
〃 |
12 |
精神疾患患者の病態に応じた看護(1) |
幻覚・妄想状態にある患者の看護,不食・拒薬する患者の看護,自他に対して攻撃的な患者の看護 |
釜 英介 |
13 |
精神疾患患者の病態に応じた看護(2) |
気分障害のある患者の看護,不安障害のある患者の看護,心的外傷を負った患者の看護 |
式守晴子 |
14 |
事例検討の方法 |
事例検討で取り上げる局面(患者,看護者,援助関係,臨床状況),事例検討における役割分担(支持型,査定型,直面化型,統合型) |
宮本真巳 |
15 |
精神看護学の展望 |
精神看護学の他領域への影響,精神看護学の看護全般への影響,看護コンサルテーション |
〃 |
4 教科書・参考書
日本精神科看護技術協会監修,精神看護学,中央法規出版,2000
宮本真巳,感性を磨く技法1 看護場面の再構成,日本看護協会出版会,1995
宮本真巳,感性を磨く技法4 面接技法から学ぶ,日本看護協会出版会,1998
5 他科目との関連
看護心理学,精神看護学等の科目と関連する。
6 受講上の注意
精神疾患患者の理解を深めるには,的確な自己理解と率直な自己表現が欠かせない。面接技法やグループワークの演習はもとより,あらゆる領域の臨地実習を活用し,自分の内面に生じた思いを吟味しつつ自己表現に努め,自己理解と患者の理解を深めて欲しい。また,精神医学と精神疾患患者の基本的な知識を確実に身に付けた上で,患者との接触から直接得られた主観的な情報を活用して患者の全体像を組み立てていく方法を学んで欲しい。
7 成績評価方法
学期末に実施する精神医療の歴史と現状,精神科事例における看護上の問題把握,相談面接とグループワークの技法等をテーマとした記述試験によって評価する。