宮 本 真 巳
1 科目の概要
精神看護学の前提となる精神医学的な知識を学ぶとともに,その内容を看護学の視点から再構築する。
2 教育方針・教育目標
精神的な機能の障害を精神医学的な疾患論,病理学,診断学に基づいて評価する方法や,薬物療法,精神療法,芸術療法などによって回復をもたらす方法について学ぶ。また,精神医療システムの中で看護職が保健医療チームの一員として,それらの知識や方法を看護的援助に生かしながら,どのような役割をとる必要があるかについて考察を深める。
3 教育内容
回数 |
項 目 |
講 義 内 容 |
担当者 |
1 |
精神障害の成因と分類 |
意識障害と精神症状,精神疾患の成因と分類,創造的行為と精神病理,病跡学,表現病理学 |
小見山 実 |
2 |
器質性精神病の診断と治療 |
器質性精神症候群(せん妄,健忘症候群等),脳器質性疾患,症状精神病 |
黒田安計 |
3 |
精神分裂病の診断と治療 |
精神分裂病の概念,病型(解体型,緊張型,妄想型等),症状,診断,経過,治療 |
花村誠一 |
4 |
気分障害の診断と治療 |
気分障害の概念,うつ状態と躁状態,気分障害の治療 |
大島一成 |
5 |
てんかんの診断と治療 |
てんかんの発作と分類,てんかん性精神障害,脳波検査法 |
松浦雅人 |
6 |
生物学的精神医学の到達点 |
脳科学,分子生物学の進歩による精神科治療の発展とその可能性 |
西川 徹 |
7 |
精神科の薬物療法 |
向精神薬の薬理作用と副作用,抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬 |
車地暁生 |
8 |
神経症の診断と治療 |
神経症の概念,不安障害,恐怖性障害,転換性障害,心気症 |
花村誠一 |
9 |
人格障害の診断と治療 |
人格障害の概念,類型,経過,人格障害の患者との治療的接触 |
花村誠一 |
10 |
精神療法と芸術療法 |
個人精神療法と集団精神療法,絵画療法 |
前田健二郎 |
11 |
絵画療法の実際(1) |
キミ子方式による絵画療法の理論と実際 |
松本一郎 |
12 |
絵画療法の実際(2) |
同上 |
松本一郎 |
13 |
アディクションの診断と治療 |
アディクションの概念,アルコール依存症とアルコール精神病,その他の依存症 |
榎本 稔 |
14 |
精神障害者のリハビリテーション |
精神障害からの回復過程,社会療法(環境療法,生活療法),リハビリテーション・システム |
安藤晴延 |
15 |
リエゾン精神医学 |
リエゾン精神医学の歴史と概念,身体疾患患者の持つ精神的な問題,リエゾン精神科医の役割 |
松島英介 |
16 |
精神医学と精神看護学(2) |
精神看護学からみた精神医学的概念,精神科治療の諸局面,精神医療におけるチームワーク |
宮本真巳 |
4 教科書・参考書
融 道男・中根允文・小見山実:ICD−10精神及び行動の障害 医学書院 1993
高橋三郎他訳:DSM−W精神疾患分類と診断の手引 医学書院 1995
5 他科目との関連
人間科学講座a,b,c,看護心理学,精神看護学演習等の科目と関連する。
6 受講上の注意
様々な精神障害の特徴について国際的な分類基準に沿って学ぶとともに,精神障害を持つ人の体験について総合的に学んで欲しい。また,精神医学の視点と看護の視点の関連についても考えて欲しい。
7 成績評価方法
学期末の筆記試験によって行う。