田 中 博
1 科目の概要
今日の医療の発展は,高度の情報科学における進歩が寄与した,といっても過言ではない,医療人として,情報科学の進歩のもたらす果実を享受し,それを充分に活用できるよう,本学では教養部から一貫したシラバスに基づく情報教育を目指している。
看護学専攻の学生に対しては,看護分野における医療情報を中心にし,より基礎的なコンピュータの仕組みから最先端の遺伝子工学まで幅広い話題をレクチャーし,併せて一般的なパソコン操作の実習をおこなう。
2 教育方針・教育目標
日々進歩の激しい情報化社会の中で,看護ニーズとしての医療情報を早く正確に入手し,得た情報を正しく理解し活用できる基礎能力を修得させるため,医療情報の現状や情報インフラとしてのインターネットの基礎知識等を教授する。またパソコンの応用ソフトの実習を通して,情報通信に対する基本的な情報リテラシーを修得させる。
3 教育内容
回数 |
項 目 |
講 義 内 容 |
担当者 |
1 |
医療情報学概論 |
医療情報学の基礎を学ぶ |
田中 博 |
2 |
情報リテラシー |
教養部での情報教育を踏まえ,簡単な情報処理の1つとして,表形式計算や画像処理の実習をおこなう。 |
〃 |
3 |
情報科学入門 |
コンピュータの歴史的発達を紹介し,情報を処理する機構の基礎を講義する。さらに,インターネットを中心とする最近の計算機環境を解説し,情報化社会のプライバシー保護などの問題にも触れる。 |
〃 |
4 |
病院情報システム |
医療にどのように情報システムが取り入れられていったか,病院情報システムの世代論・構成論を述べるとともに看護関係の病院内でのシステム化の現状を講義する。 |
〃 |
5 |
看護情報学 |
看護情報システムは独自の情報化の歩みをたどりつつある。看護情報の基礎を解説するとともに看護支援システム,看護記録システムの基本を講義する。 |
〃 |
6 |
遠隔医療 |
遠隔医療の歴史と現状を紹介し,なぜ遠隔医療が必要なのかを講義する。また,在宅医療,救急医療,健診システムの基礎を解説する。 |
〃 |
7 |
バーチャルリアリティ |
バーチャルリアリティ(仮想現実)の医学への応用(手術訓練,リハビリへの応用,スターブライト計画,人体のデータベース化等)について講義を行う。 |
〃 |
8 |
計算科学の先端 |
医学,看護学研究などに用いられる情報科学や計算機の応用について,その基礎方法論を述べるとともに,計算医学の先端(分子生物学,医薬品計算機設計等)について触れる。 |
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4 教科書・参考書
参考書として
田中 博・中村清吾 次世代医療情報システム ネットワーク社
日本医療情報学会編 医療情報学(全3巻) ネットワーク社
などがある。情報科学の入門書は多数存在し,例えば小山了三著「情報史・情報学」(東京電機大学出版局)などがあり,看護情報に関しては,中野正孝著「系統看護学講座 情報科学」(医学書院)などがある。
5 他科目との関連
情報科学(1年),保健統計学(4年)などと関連が深い。
6 受講上の注意
医療情報システムは最近急速に発展している。新聞・テレビなどマスメディア等で,先端的な事例が報告されることもあるので,日頃からこれらに関心を持つことが望ましい。
7 成績評価方法
出席点・レポート・筆記試験で総合的に評価するが,出席点の比重が大きい。レポートは,実習の時に提出する。筆記試験は,学期末に簡単なものを行う。
8 その他
医療情報学の土台である情報科学を理解するためには,コンピュータの基礎的な理解が必要である。そのためには,実際にコンピュータに触ってみることが何よりも重要であろう。
本学では,情報検索機器室,情報教育研修室(1号館4階附属図書館内)や,歯学部視聴覚研修室(歯科校舎棟6階)を,どの学部学生にも開放している。これらに設置されているパソコンを利用するなどして,日頃からスキルアップを図ることが望まれる。