分子構造認識学

Structure-based molecular recognition

 

清 水 正 人

 

1 科目の概要

細胞内の生物反応や情報伝達系には多くの分子が関与する。分子間相互作用を介してシグナル伝達が起こる。この分子間相互作用の基本は分子の立体構造と非結合性相互作用(水素結合,疎水性結合等)が重要な役割を果たしている。シグナル分子が特定のパートナーを認識する仕組み,特に構造的要因に注目し機能発現機構を理解する。

 

2 教育方針・教育目標

本講義では,細胞内で起こる様々の現象をそれらに関わる個々の分子に焦点を当て考える。分子構造から分子の持つ特徴,性質を読み取り,分子認識における巧みな分子間相互作用を考える力を身に付ける。

 

3 教育内容

核内受容体は核の中に存在し遺伝子転写を直接制御するので,生体内の機能発現に特に重要な分子である。この核内受容体の活性化には,ステロイドホルモン等小さな分子が数多く含まれる。この小分子は高分子受容体に作用し,更に巨大分子DNAを動かすトリガーとなる。本講義では核内受容体とその脂溶性リガンドに焦点を絞り,生物作用発現における分子レベルでのシグナル伝達について概説する。

回数

項     目

講   義   内   容

担当者

1

核内受容体(1)

核内受容体の構造と機能

清水正人

2

核内受容体(2)

核内受容体の構造と機能

3

核内受容体(3)

核内受容体とリガンドとの相互作用

4

天然リガンド分子(1)

ビタミンDと受容体認識

5

天然リガンド分子(2)

ビタミンDと構造活性相関

6

天然リガンド分子(3)

他のステロイドホルモンと受容体認識

7

合成リガンド

受容体認識に基づく医薬品開発

8

高分子間相互作用

核磁気共鳴法および質量分析法による分子相互作用を観察

 

4 教科書・参考書

特になし。講義用にプリントを用意する。講義内容を理解する上で有機化学の教科書,特に分子構造に関する章を一読することを進める。

 

5 他科目との関連

特になし。

 

6 受講上の注意

積極的に講義に参加することを望む。不明な点は講義中に解決する。

 

7 成績評価方法

レポート提出および出席点で評価する。