遠 藤 朋 之
1 科目の概要
主にアメリカの雑誌に掲載されている医学関連の英文を読むことを通じて,英語力の伸長と,現在話題になっている医学の問題を考察する。さらに,sexualityの問題にも踏み込むことにより,「人権」について考え,それが医療においてどのように扱われるべきかを考える。
2 教育方針・教育目標
前期は,NewsweekやTime, Scientific Americanといった,アメリカの雑誌からの,医学に関するエッセイを読む。上に挙げた三誌は,日本でいえばAERAのような位置を占めると思われる(もちろん,これは逆の言い方で,AERAがNewsweekやTimeのような雑誌を目指して作られた)。つまり,英文としてしっかりと整った文章,同時に社会の諸問題に対して,ジャーナリスティックな視線を持って書かれたものを掲載している,ということである。そういったエッセイを読むということは,読み手の知的水準もある程度の高さが要求される。わかりやすく言えば,この授業では,英語のmaterialを読みながら,主に医療の諸問題に対する理解力(日本語,英語に関係なく)を養うことを目的としている。
後期に入ってからは,sexualiltyの問題にも踏み込んだものを読む予定。Sexuality,つまり「性」の問題は,誰もが避けて通ることのできない問題である。当然,患者となる人にもsexualityはある。そして受講者である人,さらに当講座の担当者であるわたしにも,避けることのできない問題である。そのsexualityを,社会が要求する「性役割」よりも,人権を優先させたかたちで考えてみたい。さらに,より現場に役立つようなものとして,医学用語の組成を知るためのプリントや,医療に関する短い文芸作品なども読む予定。
3 教育内容
[前期]
回数 |
項 目 |
担当者 |
1 |
ガイダンス |
遠藤朋之 |
2 |
トピック・センテンスについての説明,および「遺伝子治療」がもたらす影響についての Newsweek からのエッセイ |
〃 |
3 |
同 上 |
〃 |
4 |
同 上 |
〃 |
5 |
医学用語の成り立ち,および体の部位,器官についてのプリント |
〃 |
6 |
同 上 |
〃 |
7 |
「心臓バイパス治療」についてのScientific American からのエッセイ |
〃 |
8 |
同 上 |
〃 |
9 |
同 上 |
〃 |
10 |
同 上 |
〃 |
|
前期テスト |
〃 |
[後期]
回数 |
項 目 |
担当者 |
11 |
テスト返却,Transsexualについてのビデオ |
遠藤朋之 |
12 |
「経口避妊薬認可」についてのJapan Quarterlyからのエッセイ |
〃 |
13 |
同 上 |
〃 |
14 |
同 上 |
〃 |
15 |
同 上 |
〃 |
16 |
「日本におけるフェミニズムの受容」についてのJapan
Quarterlyからのエッセイ |
遠藤朋之 |
17 |
同 上 |
〃 |
18 |
同 上 |
〃 |
19 |
医者で詩人だったWilliam Carlos Williamsの「幼少期に受ける心的外傷」についての短編 |
〃 |
20 |
同 上 |
〃 |
|
前期テスト |
〃 |
4 教科書・参考書
特に指定しない。毎回プリントを配布する予定。学校の facility を有効利用する意味で,インターネットから受講者に自分でダウンロードしてもらうこともある。
5 他科目との関連
特に,直接的な関連はない。しかし,医療に関わるトピックであれば,なんでも扱うので,「扁桃腺」を英語でなんと言うかすら恐らく知らない受講者にとっては,「医学英語」や「医療における英語」の入り口になるであろう。
6 受講上の注意
語学においては,予習は必須である。予習とは,自分がどこがわからないかをはっきりさせること。予習の最低ラインが,単語調べである。くれぐれも,「この単語の意味はなんですか?」と言って,担当者を辞書代わりにすることのないように。
7 成績評価方法
学期末テストをする予定。詳細はガイダンス時に,受講者と話し合って決める。
8 その他
教育内容の項で,授業回数と講義項目の数が合っていないが,学期途中に小テストを行うかもしれないことと,講義期間中に上記の雑誌や新聞等に掲載されるであろうタイムリーなエッセイを読みたいという意図のためである。小テストについては,開講時に受講者と話し合う予定。