免疫検査学実習

Clinical Immunology,Laboratory

 

窪 田 哲 朗

 

1 科目の概要

免疫学的手法を応用した臨床検査は,感染症,腫瘍,自己免疫疾患,炎症性疾患など,広範囲の病態の把握に,日夜欠かせないものとなっている。

 

2 教育方針・教育目標

実習を通して現在一般的に行われている免疫検査法の,基本原理を理解することを第一の目標とする。さらに,新しい検査法の開発や,広く免疫学をはじめ,医科学の他の分野の基礎研究にも応用できる,免疫化学実験法の基本を習得することを第二の目標とする。

 

3 教育内容

臨床検査の実例として,各種の沈降反応,溶血反応,免疫電気泳動法,蛍光抗体法などを用いた検査を実習する。免疫化学実習法の基本として,緩衝液の作成,血清の分離,カラム・クロマトグラフィー,免疫グロブリンの精製・定量,酵素抗体法,各種電気泳動法,免疫ブロット法などを実習する。

回数

項     目

実   習   内   容

担当者

1

採血,飽和硫安の作成

採血法,血清の分離法,保存法を学ぶ。飽和硫安アンモニュウム液の作成。

窪田哲朗

2

塩析

透析膜の前処理。

各自の血清γ-グロブリンを塩析する。

3

免疫電気泳動

Grabar法にて,血清,γ-グロブリン分画,G分画などを泳動する。

4

マウスの免疫(1)

実験動物の扱い方を学ぶ。マウスに牛血清アルブミン,卵白リゾチームなどを免疫する。

5

マウスの免疫(2)

マウスの採血をする。

6

放射免疫拡散法

放射免疫拡散法にて各自の血清IgGを定量する。

7

二重免疫拡散法

二重免疫拡散法を実習する。

8

SDS−PAGE  (1)

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に必要な緩衝液,ゲルなどを作成する。

9

SDS−PAGE  (2)

血清,γ-グロブリン分画,IgG分画などを泳動する。

10

抗核抗体

正常および患者血清を用いて抗核抗体法(間接蛍光抗体法)を実習する。

11

酵素免疫測定法(1)

免疫前,初回免疫後,追加免疫後のマウス血清中の抗体を測定する。

12

酵素免疫測定法(2)

結果を整理し,1次免疫応答と2次免疫応答について理解する。

13

Western blotting (1)

SDS−PAGE 用のゲルを作成し,ウシ血清アルブミンおよび卵白リゾチームを泳動する。

14

Western blotting (2)

ニトロセルロース膜に転写し,マウス血清中の抗体を検出する。

15

ASO

抗ストレプトリシンO抗体を測定し,毒素中和反応について理解する。

 

4 教科書・参考書

福岡良男 他 編,臨床免疫学(医歯薬出版)

 

5 他科目との関連

免疫検査学講義と表裏一体のものであるので,成績も一括して評価する。

 

 

 

6 受講上の注意

遅刻をしないこと。名札,白衣を着用する。実習室内は飲食禁止。上記の教科書に記載されているような一般的な臨床検査については,実習で扱わない項目も試験範囲に含めるので,各自で学習しておくこと。

 

7 成績評価方法

後期末に筆記試験を行う。各自の実習ノートも評価対象とする。

 

8 その他

前期の免疫検査学講義(窪田)の試験との合計点が60%未満のものに対して,両科目を試験範囲とする再試験を行う。