ロールモデルインタビュー

Home > ロールモデルインタビュー > 前屋舖 千明(まえやしき ちあき)氏

実験計画を綿密に立てて、プライベートとの両立を目指す

お名前:前屋舖 千明(まえやしき ちあき)氏
家族構成:夫・子1人(0歳5カ月)
所属・職位:東京医科歯科大学 大学院歯科学総合研究科 消化器病態学分野 博士課程4年
研究内容:腸におけるオートファジーの解明

インタビュー:2017年1月13日

研究者になろうと思ったきっかけをお聞かせください。

初期研修修了後は、3年ほど臨床医として医療の現場で実践経験を積ませていただいていました。そのときに感じたのが、病気の原因や新たな治療法を見つけるには、基礎研究を学んでおくことが重要、ということでした。そのため、入局して研究に携わることにしました。

前屋舖 千明(まえやしき ちあき)氏

現在の研究テーマを選んだ理由は?

現在の研究テーマは「腸におけるオートファジーの解明」です。オートファジーは、炎症性腸疾患という難病の病態に関わっていると言われているものの詳細がわかっていないため、病態解明や新規治療薬の開発に少しでもつながればと思い、このテーマを選びました。

これまで研究で悩んだときにどのように解決してきましたか。

研究を始めてから最初の2年間は思ったような結果が出ず、悩んでいた時期がありました。そんなときに研究を指導してくださっている上司(指導医)に相談したところ、今までの実験報告書の作成方法を改めてみてはどうかと提案され、早速実践してみることにしました。

具体的には、①実験の目的、②具体的な方法、③結果と考察、④解釈、⑤次につなげるための実験手法の5点をすべての実験についてなるべく詳しく書き、パワーポイントでまとめました。すると、頭の中が整理されて、改善点がはっきりしたり、実験において大事だと思われるポイントが明確になったりして、無駄な実験をしなくなり、興味深い研究結果が得られるようになったのです。

とてもシンプルで基本的なことではありますが、地道な研究に大きな道筋を与えてくれました。とくにパワーポイントでまとめたのは、画像として比較もしやすく、効果的だったと思います。

ワーク・ライフ・バランスを保つために、気をつけていることはありますか。

前屋舖 千明(まえやしき ちあき)氏

研究には明確な終了というものがないため、始めたばかりの頃は毎日遅くまで研究室に残ったり、週末も毎日研究室へ足を運んだりして、自分のプライベートな時間を上手に取れずにいました。

たしかに実験をすればするほど研究結果がたくさん得られるのは事実です。でも、実験計画を綿密に立てることで、効率よく実験を進められることがだんだんとわかってきました。

したがって、一週間分の実験計画を前の週に綿密の立てることで、プライベートな時間もうまく確保できるようになってきました。

プライベートの時間を確保できたことで得られた効果は?

実験計画を綿密に立てることで、週末は実験室に行かなくても良い日を作り、そこで友人と会ったり、映画を観たりするなど、リフレッシュできました。

研究を続けるうえで、結婚や出産に迷いはありませんでしたか。

研究を始める前に結婚していたのですが、妊娠・出産することにより研究を一時的に休止しなくてはならなかったり周囲に迷惑をかけてしまったりする懸念はありました。

しかしながら、出産することも私の一つの夢だったので、妊娠が分かった際はできる限り周囲に迷惑をかけないよう、私なりに頑張ろうという覚悟を決めました。

現在、DDユニットの「育児・介護との両立支援」>「ファミリーサポートシステムの運用」の支援を受けていらっしゃいますが、きっかけは。

昨年8月に出産しましたが、大学院4年生で卒業も控えていたため、なるべく早く研究を再開する必要がありました。区の保育園への入園ができずに困っていたタイミングでDDユニットファミリーサポートの存在を知り、支援を受けることに決めました。

支援を受けて、どのような効果がありましたか。

不定期ではありますが、1回4~7時間程度DDユニットファミリーサポートの提供会員さんに来ていただいていたのですが、実験の時間を確保して研究・論文執筆を進めることができました。自宅に来てくださるため送迎時間が必要なく、サービスを受ける時間を最大限活用できることも大きかったです。
 また、ほかの日は区の一時保育なども利用していますが、それらに比べるとDDユニットファミリーサポートの支援は安価なのがありがたいですね。安いからといって一般のベビーシッターさんに比べて保育の質が下がるわけではまったくなく、安心して研究に向かえています。
また、提供会員さんから「音楽が好きなようです」とか「ダンスを踊ってみせると喜びますよ」などとアドバイスもいただけて、育児に役立てることができました。

今月から都内の認可外保育園で週3日預かってもらえることになりましたが、週2日は保育園に預けられないので、今後も支援を受けられればと考えています。

研究を続けてよかったと思う瞬間はどんなときですか。

研究によって、これまでわかっていないことを発見したかもしれないときや、既に知られている事実でも、自分の手でそれをきれいに証明できたときは、とてもうれしく思います。そういった意味でも、私は自分自身の手で研究結果をきちんとまとめたいと思っていました。いろんな支援や協力を得ながら、最終的に今回、論文として形にすることができたので、復帰して本当によかったです。

これからの女性研究者支援に望むことはありますか。

研究にはある程度まとまった時間が必要で、毎日数時間だけの支援では研究がなかなか進まないことも多いです。ですから、グループナーサリーでも構わないので、なるべく長時間子どもを預かってくれるサービスがあるとありがたいです。

これからの研究者としての夢や目標は。

自分で出した研究結果が何らかの次の研究へつながり、最終的に新たな病態解明や治療薬開発につながったらとてもうれしいなと思っています。

後輩へのメッセージをお聞かせください。

最近は研究に携わる人が減っていると言われていますが、数年でも研究に携わることで基礎研究を身近に感じることができ、物事のメカニズムを考えるような思考も身につけられます。

大学院に入るタイミングは、女性としてもちょうど大事な年齢であることが多いと思います。でも、研究は時間をうまく調整することも可能な仕事で、私自身も何とか今研究と育児の両立を頑張ることができているので、ぜひワーク・ライフ・バランスを大切にしながら、後輩たちにも研究にチャレンジしてほしいと思います。

前屋舖 千明(まえやしき ちあき)氏

1日のタイムスケジュール

7:00 起床
7:40 娘と自宅を出る
8:00 保育園に預ける
9:00~12:30 外の病院に勤務(主に内視鏡)
13:00 ラボに来て実験
17:30 ラボを出て保育園のお迎えへ
18:30 帰宅
19:00 夕食
20:00 文献検索や実験計画
21:00 お風呂、寝かしつけ
22:30 就寝
1:00、4:00 授乳

pagetop