大学院保健衛生学研究科
 
1. 理念
  21世紀の複雑化する社会において看護学及び検査学に求められている多くの課題に的確に対応するために、高度専門性をめざす総合保健看護学専攻と生体検査科学専攻の2専攻とし、独自の学問体系の確立と発展を図る。
看護学及び検査学に求められている多くの課題に的確に対応し、国際的学際的指導力を発揮するために、大学院の教育研究の高度化を図り、大学院における臨床指向型研究を主軸に置いた研究活動を積極的に進めることにより、国際社会のニーズに応える研究心旺盛で問題解決型思考力を有する高度専門職業人及び世界をリードする本格的な国際的研究者の養成を行うことを基本理念とする。
上記基本理念に基づき、下記の能力を有する人材を養成する。
   
 
(1) 国際的リーダーとしての研究者
 
1. 最先端の看護学と臨床検査学を飛躍的に進歩させ、国際的、学際的にも世界をリードする研究者
   
(2) 臨床指向型研究をリードする高度専門職業人
 
1. 高度な専門分野の知識と技術を有し、かつ現場課題に対しては看護と検査の分野において総合的な判断と遂行力のある高度専門職業人としてのリーダー
2. 臨床現場に精通し、看護学特有なケア、検査学特有な臨床検査解析力および精度の高い臨床検査法や生体支援システムの研究開発並びに国際的、学際的に臨床現場への的確な応用拡大を遂行できる高度専門職業人としてのリーダー
基本理念である「国際的リーダーとしての研究者」と「臨床指向型研究をリードする高度専門職業人」の関係は、同一の学生が両方を兼備えることをめざしている。すなわち、臨床現場をリードする高度専門職業人であるとともに、臨床現場(地域を含む)の問題解決を図る国際的リーダーとしての研究者を指している。換言すれば、臨床能力の高い研究者であり、研究の蓄積が臨床的判断能力と行動能力を高める、あるいは指導力を高めるという相互発展的な能力の養成をめざしている。具体的には臨床能力とは、看護では、健康問題とそれに関連する生活問題の予防、健康回復、リハビリテーション、緩和ケア、高度医療看護技術、ケアシステム構築などをそれぞれの専門内容に応じて実施できること、検査では高度先端医療の進展に対応しうる精度の高い臨床検査解析が実施できることである。臨床現場の問題構造を明確にし、問題解決に向けて適切に研究を推進すること、研究成果を現場に適用・還元し、妥当性を確認し、新たに研究すべき課題・焦点・方法を明確にする。これらを繰り返し発展させていくことで臨床能力を有する本格的な国際的研究リーダーとしての能力基盤を形成するものである。
   
2. 保健衛生学研究科の編成
  看護学と検査学を飛躍的に発展させるために現在と将来にわたり社会的ニーズの高い内容について教育研究分野を編成し、総合保健看護学専攻を3大講座とし、10教育研究分野に、生体検査科学専攻を2大講座とし、10教育研究分野とした。教育研究分野は、高度先端的専門内容として構築するとともに教育研究組織を学部教育研究分野から大学院教育研究分野に平成13年度より改編した。
   
3. 各専攻の教育内容・特色
 
(1) 総合保健看護学専攻
  健康問題とそれに関連する生活問題が多様化・複雑化するなかで、地域・病院・施設等の看護の現場において、子供から高齢者までの疾病予防、健康回復、リハビリテーション、ターミナル期までのさまざまな健康レベルの人々に対して生活者としてのケアの視点から先端的看護技術の開発、集中的・継続的ケアによる緩和ケアや危機予防、安定的な健康と生活へのケア、個人・家族・集団への健康教育、及び社会資源利用、チームケア、ケアマネジメント、看護管理、制度改革への提言や資料提示などによる組織的問題解決によって人々の健康と生活自立のレベルアップ、家族を含めたQOL(生活の質)の実現をめざす問題解決型思考を鍛える教育を行う。各教育研究分野の特性に応じて問題のアセスメント・計画・効果効率的実施・評価・理論構築への研究方法を体系化し、プロジェクト研究への参加、外国大学等研究機関への留学、国内外の学会での発表、学会誌への原著論文掲載等によって研究プロセスの体験と研究成果発表を蓄積し、自立して研究できる能力を修得し、臨床指向型研究・国際的学際的研究のリーダー及び教育者としての資質の養成を目指して教育研究を行う。
   
(2) 生体検査科学専攻
  医学・医療が科学、特に分子生物学の急速な進歩に伴いますます高度化、先鋭化していくなかにあって検査学の分野もその例外ではない。従って、分子・細胞レベルから器官・個体レベルにわたる生命情報の解析とともに、病因の探索と病態の解析を行い、それらを基盤に、より特異性と精度の高い臨床検査法や高次機能検査法の開発、在宅臨床検査システムやリハビリテーション用ツールをはじめとする生体支援システムの開発を目指した教育研究を行う。かつ、学際的視野に立った高度な教育研究を行い、臨床現場に精通し、臨床検査に対応できる知識、専門性、解析能力を併せ持ち、臨床指向型研究・国際的学際的研究のリーダーおよび教育者としての資質の養成を目指して教育研究を行う。
   
4. 各専攻の目的・目標
 
1) 総合保健看護学専攻
 
(1) 博士(前期)課程
  目 的
  学士課程で修得した専門的知識・技術を基盤に、看護学の専攻分野における学識を深め、科学的思考力と研究能力を養い、倫理観の高い看護実践の指導者・管理者、行政分野の指導者、研究者、教育者としての能力を修得する。
   
  目 標
 
1. いずれの専門分野を選択した学生も共通に医療機関・ケア施設・保健機関などにおける看護内容と関連する制度を理解し総合的な視野で健康問題をとらえて組織的に解決する思考能力と自己の専攻分野を中心に研究する能力を修得する。
2. 選択した専門分野において深い知識と高い技術を備えて質の高い看護ケアのためのアセスメント・計画・実践ができる能力を修得する。
3. 選択した専門分野においてケアが円滑に行われるように、看護職に対して実践のモデルとなり教育を行うこと、および保健医療チームメンバーへの相談を行うための能力を修得する。
4. 選択した専門分野において多職種の中で継続ケア・総合的ケア提供のために、コーディネーターの役割をとり、ケアシステムの確立と推進に寄与することができるような調整のための知識・技術を修得する。
5. 選択した専門分野の看護を中心として、学際的国際的な文献購読や国際的課題の討論に参加し、看護の研究に生かし、わが国の課題・展望および戦略を具体的に考察し、まとめる能力を修得する。
6. 選択した専門分野における研究活動を行うために研究方法、概念枠組の抽出方法や理論の応用方法を学び、論文を作成する能力を修得する。
7. 学会等の学術的な場において発表し、質疑に参加できる能力を修得する。
   
(2) 博士(後期)課程
  目 的
  看護学領域において、研究者として自立して研究活動を行い、高度に専門的な業務に従事するのに必要な専門分野に関する高い学識・技術・応用力を持ち、国際的学際的な研究を行うリーダーとしての能力と倫理観の高い研究者・教育者・管理者となれる資質を有する高度な専門職業人を養成する。
   
  目 標
 
1. 自立して研究活動が行えるように、専門的知識と技術の向上やそれらの開発、研究者としての理論構築を試み、国内外の学会等の学術的な場において発表しうる能力を修得する。
2. 総合的な視野で健康問題をとらえて組織的に問題を解決する思考能力及びチームケア・ケアシステムの形成や発展を可能にする方法を具体化する能力を修得する。
3. 教育機関での教育、各種の相談者としての役割が果たせる能力を修得する。
4. 現場活動において質の高い看護を実践し、研究者、教育者、管理者としてのリーダーシップを発揮する能力を修得する。
5. 国際的学際的研究や国際交流ができる能力を修得する。
   
2) 生体検査科学専攻
 
(1) 博士(前期)課程
  目 的
  各専攻分野のスペシャリストとしての専門的な実践力を育成し、かつ倫理観豊かな教育者、研究者、並びに実践の場における指導者、管理者としての能力を修得する。
   
  目 標
 
1. 各専攻分野におけるより専門的な学理や技術を修得する。
2. 実践の場で求められる高度な実践的知識や技術、及び検査管理や問題解決能力を修得する。
3. 特別研究を通して、研究計画の立案、実施、成果のまとめ、文献的考察、学会発表、論文作成などの研究の基本的な進め方を学び、研究能力を修得する。
4. 種々の関連領域に関しても日進月歩の新しい知識や技術を理解、応用する能力を身につけ、学際的・統合的な視野に立ち、国際的にも活躍できる基盤を修得する。
5. 医学・医療にかかわる学問・研究を志すものとして高い倫理観と良識を備えた豊かな人間性を育みリーダーとしての資質を修得する。
   
(2) 博士(後期)課程
  目 的
 
検査学領域において研究者として自立して研究活動を行い、高度に専門的な業務に従事するのに必要な専門分野に関する高い学識・技術・応用力を持ち、国際的学際的な研究を行う高度な専門職業人を養成する。
 
目 標
1. 検査学領域において自ら研究テーマの設定、研究計画の立案、実施、まとめ及び研究成果の発表を行い、自ら原著論文を作成し、専門領域の国際的に通ずる学会誌に発表しうる能力を修得する。すなわち独立した研究者として認められる能力を修得する。
2. 検査学関連の4年制大学で、専門分野についての講義の補佐及び実習指導能力を修得する。
3. 専門分野における知識、技術だけでなく、基礎・臨床医学、工学、分子生物学などの関連領域に関する知識と理解力をもち、これら関連領域の研究者と共同研究ができる能力を修得する。
4. 研究能力を有する高度の専門職業人として必要な特定領域の深遠な知識と高度の技術を修得する。
5. 国際的学際的研究や国際交流ができる能力を修得する。



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