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センター長あいさつ

生命・医療・研究倫理の未来を見据えて


現在の日本では数多くの基礎医学研究が進められているが、臨床医学研究に関しては、量・質ともに米国や諸外国にははるかに及ばない。この臨床研究の停滞は、例えば施設の倫理審査件数の違いをみれば明らかである。もちろん、米国においてはシステムや人的資源などの面で有利であることは事実であるが、わが国においても近年の各種倫理指針の施行やその遵守体制が確立されたことにより、臨床研究が発展する基盤は整ったように見える。
しかし、同意取得が確認されなかったサンプルを使用した研究や、研究上の倫理的妥当性を担保する倫理審査に未申請であったなどの不適切な事例をみるまでもなく、いまだ解決しない問題は多く、倫理的問題に対する説明責任は必ずしもはたされていない。一方、国内外の主要な論文投稿に際しては、研究倫理審査承認が必須となり、臨床研究全般における倫理審査の重要性は増している。つまり、これらの整備不足は、わが国独自の臨床研究データの欠如を招き、結果的に国民的不利益を招きかねない状況である。
このような状況のなかで、臨床研究や先端医療をスムーズに進展させていくためには、新たな生命・研究倫理体系を構築活用することが必須である。平成17年度からの特別教育研究経費の支援によって本学生命倫理研究センターでは、これらに取り組む基盤的組織を整備し、効率的かつ実際的なシステムを導入し始めた。
 当初の5年間の活動で感じたことは、現在の医療分野においてこうした最先端の生命・研究倫理を熟知する人材は極めて少ないということである。そこで、高度な専門性と社会通念を含めた客観性のバランスがとれた医療倫理教育およびそれを実践できる人材を養成し、国内にあっては、研究推進の根幹である研究立案を含めた科学的妥当性および倫理的正当性を評価しうる研究倫理体制を標準化することが、極めて緊急的な課題といえる。このような新たな課題に対応するべく、平成22年4月より本生命倫理研究センター(以下センター)は東京医科歯科大学のセンター組織として正式に設置されることが決定した。これまでの実績をふまえ、さらに医歯学研究と生命倫理に関わる諸問題についての学際的研究を展開することになる。
このようなセンター事業は、我が国の臨床および基礎研究の下支えをする非常に重要なテーマであるばかりでなく、臨床医学の発展にも大きく貢献できるよう、皆様方の暖かいご支援とご指導をお願いする。

吉田 雅幸