「現代パフォーミングアーツ入門」特別授業(コンサート)
ウード&ヴァイオリンによるアラブ民俗音楽の夕べ
演奏および解説: 常味裕司(ウード奏者)、喜多直毅(ヴァイオリニスト)
日時:平成17年2月1日(火)
場所:湯島キャンパス 5号館 第1セミナー室
平成13年度より教養部で開講している自由教育セミナー科目「現代パフォーミングアーツ入門」では、毎年一流の演奏家を大学にお招きして生演奏を鑑賞する機会を設けていますが、今年度は初の試みとして、教養部生以外の方にも参加していただけるよう、会場を湯島キャンパスに移してコンサートを開催しました。
今回お招きしたのはウード奏者・常味裕司さんと、ヴァイオリニスト・喜多直毅さんです。授業担当者の徳永助教授による簡単な紹介の後、アラブの民俗衣装に身を包んだお二人が登場しました。常味さんは日本におけるアラブ音楽演奏の第一人者で、昨年の朝日新聞夕刊連載「民族楽器の旅」でも紹介されています(記事内容はこちら)。喜多さんは国内有数のタンゴ・ヴァイオリニストとしても知られており、過去に来校していただいた際には見事なタンゴ演奏を披露してくださいましたが、今回は本格的なアラブ・スタイルの演奏を聴かせて下さいました。
会場には「現代パフォーミングアーツ入門」を受講している教養部生の他、過去に受講した学生、湯島地区の教職員、大学院生、留学生らに加えて学外からも聴講者が集まり、盛況となりました。おそらく出席者の大半はアラブ音楽、特にウードの実演を見るのは初めてだったと思われますが、その美しい響きと迫力ある演奏にすっかり聴き惚れていたようです。
演奏されたのはトルコ、エジプトなど中東の民俗音楽です。その中の1曲「ロンガ・シャーナーズ」は、「自由」というタイトルで女子十二楽坊が演奏して有名になった曲ですが、元々はトルコの曲であるとの説明が常味さんよりありました。他にもアラブ音楽特有の微分音を含む音階(マカーム)や、アラブ音楽で使用される楽器(ウードの他、打楽器、笛等)について、実演を踏まえてわかりやすく解説していただき、皆熱心に聞き入っていました。
以下は学生のレポートやEメールでいただいた感想からの抜粋です。
- 喜多さんのバイオリン演奏は体全体を使っていて聴いていて非常に迫力ある演奏でした。常味さんのウードも優雅さを感じさせる音色が素敵でした。(1年生)
- 曲の表情の変化が大きいなと感じました。徐々に静かになっていくところとか、一気に盛り上がるところがはっきりとしていました。生演奏だったため、自分の肌で感じることができて非常に良かったです。途中で何回も体が踊りだしそうでした。それと、二人の息の合った演奏に感動しました。喜多さんと常味さんが互いに目と目でやりとりをしてるところはかっこよかったです。(1年生)
- 古さを感じさせず、むしろ現代的だと思いました。普段聞かないような音楽が聴けてとてもよかったです。(1年生)
- 実は次の日の試験が不安でしたが、演奏を聞いてそんなもん吹っ飛びました。聞きに行って良かったです、これが聞けたんだから落ちても再試で受かれば悔いは無い状態の心境で帰宅しました。(結果的には試験も落とすことなくすみましたが)(2年生)
- ウードの音を初体験できて良かったです。今まで聴いてきた音楽とはかなり違っていました。アラブの人たちはこういう音楽に囲まれて育ってきたわけで、やっぱりそこからも人種間の違いがうまれてくるんだろうなあ、とか漠然と思いました。でも、常味さんがおっしゃっていましたが、慣れてくると異質と思われる音楽でも快感になってくるので、それが人間のすごいところだとも思いました。そして、やっぱり喜多直毅さんのヴァイオリンは素晴らしいです。(2年生)
- ウードという楽器ははじめて知りました。大学からはチェロを弾いていますが、中学・高校では部活動でマンドリンを弾いていたので、
御二方の演奏とトークはとってもおもしろかったです。そして、そんな機会を下さった徳永先生、ありがとうございました☆(大学院生)
- がぜん、アジアの旋法に興味がわいてきました。高次元での音楽療法を考えておりまして、そういう観点からも今度、武満を解析してみたいと考えておりますので、自分にとっては大きな動機付けになりました。(難治疾患研究所・中村俊規教授)
なお、平成17年度は9月下旬に同様のコンサートを開催することを検討しています。