畔柳和代准教授の訳書『マン・オン・ワイヤー』

本学教養部畔柳和代准教授の新しい翻訳本『マン・オン・ワイヤー』が白揚社から出版されました。

フィリップ・プティー『マン・オン・ワイヤー』

白揚社、2009/06、318ページ、ISBN:9784826990448、\2200(+税)

マン・オン・ワイヤーというと先に昨年度アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画の方を思い浮かべるかもしれません。日本では今年の6月に封切され、これに合わせるように、この映画の主人公であるフィリップ・プティーが著した映画の原作本にあたる「To Reach the Cloud」が映画のタイトルと同じタイトルで出版されました。その訳者が教養部の畔柳さんです。

フィリップ・プティーはフランス人の曲芸師、綱渡り師であり、1974年8月にニューヨークのワールド・トレード・センターのツインタワーの間に張られた鋼鉄のロープを渡りました。高さ411m、地上110階の高さです。

この本は、彼自身語ずっと後になって、この犯罪にして美しい藝術といわれた綱渡りの実行までの軌跡を彼自身が書いたものです(原作の出版は2002年)。小さいときから他者に対して軽蔑的な眼を向けるようになり、人とうまく接することができず、奇術や木登りや乗馬、フェンシングを習い、独行の大道芸人になっていきます。パリのノートルダム寺院やシドニーのハーバーブリッジの綱渡りを経て、ニューヨークのツインタワービルを目指すようになるのです。短い章立ての積み重ねで、実行までの軌跡を写真や建物の見取り図を挿入して、きびきびと描いてゆきます。

この8月にリフレッシュ休暇で白馬村へ行き、EXアドベンチャーというところで地上8から12mのアドベンチャーコース(板橋とか丸太橋とかスイングなどを踏破するコース)に挑んだのですが、その50倍の高さだとどういう心境になるか、想像もできません。彼が高みに上るのは、止むにやまれぬ一種の昂揚感に襲われた神へ近づく方略だったのでしょうか。

この本は、多くの新聞の書評欄で取り上げられました。そのうちのいくつかは下記のサイトに掲載されています。

読売新聞オンライン書評
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20090721bk01.htm

朝日新聞Web
http://book.asahi.com/booktimes/TKY200908030243.html?ref=rss

この他、多くの書評欄で取り上げられています。
★週刊文春(7月23日号)の「私の読書日記」にて紹介されました!
★7月19日の読売新聞読書面にて紹介されました!
★週刊朝日(7月31日号)の「話題の新刊」にて紹介されました!
★8月15日の岩手日報読書面にて紹介されました!
★8月16日の河北新報、熊本日日新聞読書面にて紹介されました!
白揚社のHPより引用。

畔柳和代准教授は、現代アメリカ文学の翻訳者として旺盛な活動を続けています。前回に紹介した時は、ホレイショ・アルジャー『ぼろ着のディック』(アメリカ古典大衆小説コレクション、松柏社、2006/03)までを一覧で紹介しましたが、その後、「マン・オン・ワイヤー」までの間に、以下のような翻訳を出版しています。

(和田勝記)