東京医科歯科大学教養部教養教育
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東京医科歯科大学教養部は、東京医科歯科大学に入学したすべての学生に、教養教育を実施するために設置されています。

それでは、教養教育とはなんでしょうか。教養教育はLiberal education、一般教育はGeneral educationの訳語です。

教養教育は、中世の大学に始まるLiberal Artsの科目群の伝統を受け継いだ教育を指す言葉です。リベラルアーツとは、ギリシャ・ローマ時代からルネッサンスにかけて一般教養を目的とした自由七科、すなわち文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽を指します。これらの科目は、リベラルという言葉が示すように、もともとは肉体労働から開放された自由人ふさわしい教養を意味し、実利性や職業性や専門性を指向する学問と対置されるものでした。

しかしながら、自由七科の内容はしだいに膨らみ、たとえば修辞学は公文書の作成法から歴史や法律の知識までを含むようになりました。やがて、修辞学の中の法律の知識は法学に移されます。

こうして、リベラル・アーツは、神学、法学、医学を学ぶための基礎的科目という色合いを帯びるようになります。しかしながら、言語を中核とした抽象的記号への習熟と論理的推理力の訓練に重きを置くことでは一貫していて、近代に至るまで西欧の知的エリートの教養のあり方を支配しました。

一般教育は、第1次大戦以後、学問の専門細分化と実利追従への批判としてあらわれました。一般教育の理念は、上に述べたリベラル・アーツの伝統を継承しつつ、自然科学と社会科学をも含んだ、市民としての新たな教養ととらえることができます。

第2次世界大戦後、日本の教育改革がおこなわれ、それまでに改革されていたアメリカの高等教育にならって、大学の教育課程は一般教育と専門教育に分けられ、一般教育は教養部あるいはそれに該当する部局でおこなわれるようになりました。

1991年の大学設置基準の見直しによって、多くの大学では教養部が改組されてなくなりましたが、東京医科歯科大学は教養教育の責任部局として残されました。現在、多くの大学では、教養教育・一般教育の責任担当部局が無くなり、その理念があいまいになり、専門教育への傾斜が強くなっています。

医療に従事する専門家を養成する本学では、職業に直結する専門教育とともに、専門家として必要となる真の教養を身につけるための教養教育がますます重要になっていると我々は考えています。東京医科歯科大学教養部が目指す教養教育とは、いわゆる一般教育とリベラル・アーツ教育を融合させた、専門教育と並立する教育課程であると考えています。

医療人の育成という観点からは、これに加えて専門の基礎となる科目群の教育も必要です。教養部では、上に述べた一般教育とリベラル・アーツを融合させた教養教育と、専門基礎教育を両立させた教育を目指し、これを医科歯科大学の教育の中心に据えるべだと考えています。

教養教育と専門家教育についての論議は、東京大学大学院教育学研究科教授の佐藤学先生に平成16年度の第1回FDで講演をしていただいた内容がとても参考になります。ぜひご覧ください。

平成16年度教養部第1回FD 講演と質疑応答の記録(pdfファイル470k)