徒然草を読む   寺島恒世

開講日

前期、月曜5時限

授業の目的・内容

『徒然草』に、「友とするにわろき者、七つあり。一つには高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには病なく身強き人。四つには酒を好む人。五つにはたけく勇める兵(つはもの)。六つには虚言(そらごと)する人。七つには欲深き人。よき友、三つあり。一つには物くるる友。二つには医師(くすし)。三つには知恵ある友。」という章段があります(第117段)。論語に基づいたと考えられるこの友人論は、なかなか含蓄が深く、さまざまに読み解かれるでしょう。そのわろき者の三つ目、よき友の二つ目に関わって、作者兼好は、122段でも「人の才能」を説くに「文と武と医」が大切であると言っており、123段では「人間の大事」として、衣食住を挙げたのち、「ただし、人皆病あり。病に犯されぬれば、その愁ひ忍び難し。医療を忘るべからず」として、結局必要なのは「衣・食・住・医」の四つであると指摘しています。

既に医の道を志している皆さんにはお馴染みの章段かも知れませんが、兼好における健康の問題はかなり重要だったようです。 授業では、『徒然草』から、まず医と健康に関する章段を取り上げ、それがこの作品を書くにあたって、いかなる意味を有していたのかを検討し、その上で、さまざまな話題が展開するこの作品を新たに読み直してみようと考えています。

授業計画

成績評価の方法

出席率30%・討議20%・レポート50%の総合評価。

教科書及び参考図書

教科書:校注古典叢書『徒然草』(市古貞次編・明治書院)

参考図書は授業中に紹介します。


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