文化人類学 I   板橋作美

開講日

前期、金曜1時限

授業の目的・内容

人間には、大きく分けると、身体的側面と、文化・社会的側面があります。文化人類学とは、そのうち、文化的・社会的存在としての人間を考える学問です(ちなみに、身体的側面を考えるのは、自然人類学とか形質人類学、あるいは、ただ人類学と呼ばれます)。

人間は、文化・社会と切り離して考えることはできません。人間は、自然という環境のなかで生きていることはもちろんですが、それだけでなく、文化・社会という環境をみずから作り、そのなかで生きています。だから、われわれは、自然法則に支配されるだけでなく、文化・社会が作った(もちろん人間が作ったのですが)さまざまな約束ごと、決めごと、規範、規約に従っています。後者は、たんに約束ごとであるにすぎないのですが、しばしばわれわれには、まるで自然の法則かのように思われています。文化・社会は、いわば、第二の自然なのです。

この授業では、そういう人間にとっての文化(社会の問題は、とりあえず、脇に置いておきます)について、あれこれ考えることが目的です。

授業計画

1 序説(文化干し、文化人、日本文化、文明と文化、など)

【文化の多様性と拘束性】

2 文化の檻
3 色彩(ニュートンとゲーテ、マックのリンゴ、色相・明度・純度、ブルーな気分、青春・朱夏・白秋・玄冬、など)
4 男と女(男らしさ女らしさ、男の割礼と女の割礼、男は文化で女は自然か、性同一性障害、など)
5 近親相姦の禁忌(推古天皇の夫は異母兄弟、起源と理由の神話性、など)

【世界把握と世界制作】

6 言語(カテゴリー分類と比喩、論理階型、など)
7 カオスとコスモス(世界の秩序化)
8 禁止と異常・偶然そして笑いと狂気

【本質主義と構築主義、相対主義と普遍主義】

9 本質主義と構築主義(オリエンタリズム、植民地支配との関係なども含む)
10 相対主義と普遍主義

【異文化理解の可能性と不可能性】

11 言語の翻訳、言語ゲーム、生活の形式
12 他者のとらえ方、知っていると信じている
13 予備日
14 質問と事前評価
15 レポート提出

成績評価の方法

前期終了時に提出してもらうレポートによって判断します。また、出席をときどきとります。

教科書及び参考図書

教科書はありません。参考図書は授業中に紹介します。


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