前期、金曜2時限
グレゴリー・ベイトソンは、1970年代ごろから、「知の巨人」として、さまざまな学問分野に大きな影響を与えた人です。日本でも、とくに1980年代、一部の人たちのあいだでは、教祖的存在にまでなっていました。「ベイトソンする」という言葉すら聞かれました。
彼は、ふつうの、いわゆる学者ではありません。だいいち、大学という学問権威の制度のなかにはいませんでした。ほとんど民間人というかたちで、独自の思索を深めた人です。そして、既成の学問分野の枠も、彼には関係ありません。彼の書いたもののリストには、精神分裂病の話もあればラッセルの論理階型の話もあり、コミュニケーション論があればサイバネティクス論もあり、バリ島の人類学的問題を語ったものがあるかと思うと、ラマルクや進化論について語ったものがある、といったように、彼は、人類学(彼は、一時期、有名な人類学者マーガレット・ミードの夫であり、人類学者として出発した)、精神医学、哲学、生物学、その他さまざまな分野を、縦横無尽に駆け回った人です。
そのベイトソンの著書『精神の生態学』と『精神と自然』を一緒に読みます。
上記の2書のなかから、いくつかの章を選んで読みます。どの章を選ぶかは受講者と相談して決めます。 毎回、全員で、同じ部分を読み解いていきます。つまり、毎回、全員が発表者ということです。
授業参加度とレポート(最後に出してもらいます)によって総合的に評価します。
必要な部分をコピーして渡します。