化学基礎演習

前期月曜日3限  (岡崎)

《化学基礎演習の感想》


「 私はこの大学に入ってくるのに必要な化学をひとりで勉強するのに、難しいものが多く、化学なんてもうウンザリと思っていた。そんな中この授業の最初、つまり1学期も私はみんなはわかっているのに、私は。。。と毎回泣きたい気持ちで化学がどんどんきらいになっていた。特に化学の物質の名前をつけるとき、分子模型を考えるときなど。
 しかし、3学期になって、私はやっと私の手で分子模型を触ることができた。水やダイアモンドなどをつくり、なにかの楽しみを感じた。そのことで私が覚えていた化学に対するキライというものが違う方向に向かって、ほとんどがいいイメージになったと思う。本当に楽しかった。」
  (保健衛生学科 看護学専攻 申 于定 [Shin woojung])

「高校一年生のときに化学の授業を受けて以来で、最初は非常に不安を感じていました。しかし、岡崎先生は、具体的なコレステロールの話や先生が現在進行形でやっておられる研究の話を化学的知識のほとんどないわたしでも、分かるように説明され、教科書の知識としてではない化学を垣間見ることができ新鮮でした。
 グループに分かれての演習の形式は、自分が分からないことを、分かっている人に尋ね、それでもわからない時には先生に質問し、みんなと理解を共有することができ、楽しみながら学ぶには良いやり方だと思います。
 しかし、やはり一番楽しかったのはモデルを組み立てる作業でした。よく分からないまま作業をはじめ、いろいろと試しているうちにだんだんと規則がつかめ、正しいモデルが出来たときは感動しました。また水とダイヤモンドが同じ構造を持っているのは驚きでした。そして何より、物質の構造の美しさにモデルを通して触れることができたことは、印象深い経験でした。」
  (保健衛生学科 看護学専攻  福地 緑)

 自分で分子モデルを作ってみるというのは、とてもおもしろい経験でした。というのも、紙面上の知識でしかなかったことが、目に見える形になって、自分で動かせるようになったからです。化学物質への興味が湧くと共に、苦手意識が払拭されました。
 知識としては当然のように知っていることでも、自分の手で作って、手とってみると、自分で組み立てたという達成感と共に、いろいろなことが見えてきます。最初に組み立てたのは、ダイヤモンド(C)と水(H20)でした。性質が全く異なるこの二つの物質は基本構造が同じであると聞いても、ほとんどイメージできませんでしたが、実際にやってみると本当にその通りで、思わずいろいろな角度からしげしげと眺めてしまいました。そのとき、本当に純粋に、化学は美しい、と思いました。どの角度から見ても規則正しく分子が並んでいて、見る度に見えるものが変わってくるのです。
 高校生のとき化学の先生が、「化学物質は構造や形が大切である」「単結合は回転する」「水素結合」ということばを、口を酸っぱくしておっしゃっていましたが、これらが何故そんなに重要なのかやっとわかりました。ダイヤモンド結晶の基本構造は、六つの炭素(C)を環状に単結合させたものですが、これには椅子型と舟型があって、結晶として多数結合させるにはどの角度から見ても全て椅子型でなければなりません。これを三人で共同作業したのですが、複数結合させていくと、いつの間にか舟型が混ざってしまって、不安定な塊が出来てしまいました。これを修正するのに強力な味方になるのが、全て単結合であるという点だったのです。椅子型と舟型は、一ヶ所炭素(C)を回転させれば、必ずどちらかになりますから、間違って結合しているところをちょっと変えるだけで正しいものになります。全て椅子型で結合させた分子モデルは、ちょっとやそっとでは結合が切れない強固なものになりました。一方、水(H20)の分子構造も、三つの水分子を水素結合させるとダイヤモンドの基本構造と同じ環状になります。ところが、こちらの出来上がった分子モデルは大変脆く、見た目は美しいのですが、下手に触るとすぐにどこかの結合が切れてしまいます。まるで、固体であるダイヤモンドと液体である水の結合力の強弱をそのまま表しているようでした。
 また、水の分子モデルを眺めていて、水素結合が出来るのは水分子に極性があるからで、極性があるから水分子の塊があると互いにくっ付き合おうとするし、水の溶解性が高いのはこの水素結合があるからだ、というように、断片的だった水の特性が、互いに関連性をもたせて整理できました。そう考えると、水というのはとても興味深い化学物質に思えてきました。
 他にも、フラーレンや黒鉛、アルコール、エーテルなどいろいろ組み立ててみました。驚くべきことに、いくつかやるうちに、出来上がった分子モデルを見ると、何となくその物質の性質の一部が見えてきたのです。例えば、フラーレンはこの球状構造の内側に何か物質を取り込むのだろうとか、黒鉛はこの結合の仕方だと衝撃に強い方向と弱い方向があるはずだとかそんな感じです。今まで、紙面上で扱っていたいろいろな化学物質が、急に身近になった気がしました。
 この分子モデルを作るという講義は、楽しいというのも然ることながら、得るものは多かったです。時間かさえあれば、もっともっといろいろな分子モデルを作ってみたかったです。
  (保健衛生学科 看護学専攻 内田智絵)
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