「第7回ママ・パパ交流会&女性活躍推進のための事例検討会」が開催されました

蘆田茉希さん

③ 生体材料工学研究所 金属生体材料学分野 助教 蘆田茉希さん

<家族構成>
夫、長女(4歳)、次女(1歳)

<状況>

  • 両親は遠方であまり頼れない。

工学系女性研究者の割合について

生体材料工学研究所の教員は、40名中女性は3名のみ。
所属している学会では女性会員が4%くらいで、女性研究者の数は少ない状況です。

仕事復帰で直面した問題

2013年にこちらに着任し、2015年に第1子出産。この時は1年2カ月の育休をありがたく取得できました。2017年に復職し、その後2018年に第2子を出産。育休は3カ月のみでした。

2人目の育休明けの時は次女がまだ生後4ヵ月だったため、もう少し子どもと過ごしたいという気持ちが強く、男女協働参画支援室の有馬牧子先生にご指導いただきながら所属長や職場の皆様にもご理解ご協力いただき、勤務時間を徐々に長くする形をとらせていただきました。また、次女が1歳になるまで、保育園に冷凍母乳を届けるため、1日に1回搾乳のための時間をいただきました。現在では保育園に18時にお迎え、19時に食事・お風呂、21時に寝かしつけ、そのあとに家で仕事をしています。

蘆田茉希さん

復職に向けて利用した制度やサービス

区の支援制度として、産後6カ月まで1時間500円で育児支援を受けることができたので、掃除や夕食の下ごしらえのために、何度か利用しました。
「タスカジ」や「キッズライン」などの民間サービスも利用しています。帰宅して食事さえあればなんとか乗り切れると思い、作り置きをお願いしていました。

勤務時間が長くなって困っていること

子どもが失敗すると「なんでそんなことしたの!」など、怒らなくていい時に子どもに怒ってしまうことがあります。子どもたちの寝る時間がずれ込んで遅くなってしまうのも悩みの種です。

改善策として私が考えているのは、第一に睡眠時間の確保。そして、子どもたちが自分でできるように工夫することです。
『こども生活百科』(講談社)という本に、環境を整えれば子ども本人が身の回りのことを自分でできるようになると書かれています。たとえば、うちの娘はお茶を自分でコップにいれたがるのですが、忙しい時に限ってこぼしてしまう。そうなるとこっちもイライラして怒ってしまうのですが、娘がやりやすいように工夫してあげれば解決するんですよね。自分でできるようになれば、私も怒らなくて済むし、娘も、失敗してばかり、怒られてばかり、よりも「自分でできたね!」と親から認められ、“自分でできる”という自己肯定感を高めることにつながります。
ですから、子どもの自立を促す環境づくりを、この本を参考にしながらやっていきたいと計画をしているところです。

出張の悩み

1回目(長女1歳)

夫は仕事が休めず、まだ授乳中で夜は娘と離れられない状況のため、母に相談。実家のほうが宿泊施設で過ごすより娘にとって環境が良いのではと、実家から出張先まで毎日新幹線で通うことにしました。
しかし、こちらの不安が娘に伝わったのか、前日に発熱。それでも行くしかないため、子どもを連れて実家へ。無事に出張は切り抜けたものの、体力もお金も消耗。この方法はあまり良くないなと反省しました。

2回目(長女2歳、次女妊娠中)

実験のための出張で1泊だから大丈夫かなと軽く考え、娘は自宅でお留守番。娘と初めてひと晩離れることになり、パパと寝る練習もしました。実母も有休をとって来てくれましたが、娘は夜に大泣き。夫と母が夜通し代わり番子で抱っこすることになった上、翌日から保育園で娘が不安定に。娘にとって大事件だったのだと反省しました。

3回目(長女2歳、次女妊娠中)

それならば一緒に行くしかないだろうと、母にも出張先に来てもらい、一緒にホテルに泊まりました。準備は大変でしたしお金もかかりましたが、結果的に楽しく出張ができたので、いい方法だったかなと思います。

学内環境の改善について

駿河台キャンパスにはオムツ替えスペースがありません。女子更衣室だと食事をされる方もいますから、トイレにオムツ替えスペースがあるといいなと思っています。
それから育休取得分の任期が延長されるような制度があれば、安心して育休を取得できるのではないかと考えています。

まとめ

仕事も頑張りたいけど、「子育てはこれで大丈夫?」という不安や悩みが常にあります。“お母さん”って皆そうだと思いますが、子どもに「よく育ってほしい」という気持ちがあるからこそだと思います。
仕事と子育ての両立はやはり難しくて、いろいろな支援がなければ両立できないと思いました。ただ、この支援が“親の仕事のため”だけになると、子どもは大人にとって迷惑で邪魔な存在となってしまいかねないので、“子どものため”という視点に立った支援が必要かなと思います。

今の子どもの育つ環境が20年後30年後の社会につながっていきます。だからこそ今、時間が少ないなか子どもとの関わり方を考えて、どう親子の信頼関係を築いていくかを考えていく必要があるのではと感じました。